ローディのカセットデッキ資料館


  
【3ヘッドカセットデッキ】

D-4500  200,000円


 1976 年 9 月のカタログより。ローディの世界初コンビネーション型 3 ヘッドを 搭載した 1 号機です。20 万円という値段はローディのカセットデッキ史上の中でも 2 番目 に高く、当時は受注生産でした。3 モーターメカのデュアルキャプスタン、キャプスタン モーターは普通の直流モーターではなく、4極ヒステリシスシンクロナスモーターです。 操作はロジックコントロールで、リモコンが別売り(12,000円)で用意されていました。  3 ヘッドの他にも、位相-周波数特性をリニアにして忠実な波形伝送を目指したL.P.D.S( 低位相歪システム)を搭載していました。ノイズリダクションは DOLBY B NR 搭載。当時ハイポジ で周波数特性 20 〜 20,000Hz はなかなかの特性だと思います。3 ヘッドの威力でしょうかね。
 オークションでも本当に稀に出てくる事がありますが、動作品をお持ちの方がどこかには いらっしゃるんでしょうね〜。一度は目にしてみたいデッキです。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:R&P コンビネーション(フェライト) 消去ヘッド:ダブルギャップフェライト  モーター:キャプスタン用・4極ヒステリシスシンクロナスモーター、リール用・マイクロカップモーター  周波数特性:20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 18,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.045%(WRMS)  歪率:1.7%(1kHz,0dB) S/N:63dB(DOLBY ON)、55dB(DOLBY OFF) チャンネルセパレーション:35dB  消費電力:40W 重量:12kg

D-3500  99,800円


 同じく1976 年 9 月のカタログより。3 ヘッドカセットデッキの 2 代目になりますが、 カタログ落ちするのは D-4500 よりも早いです。1 モーターの機械式メカとシングルキャプスタンからして D-4500 とは明らかに差がありますが、故・長岡鉄男氏は D-4500 よりも完成度を上げたデッキ として紹介されていました。ゴツゴツとしたデザインの D-4500 に比べて大分スッキリした 外観になり、わたし的には D-3500 の方が好きです。これもできれば手にしてみたいんですが、 D-4500 よりも入手は難しいようです。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:R&P コンビネーション(フェライト) 消去ヘッド:ダブルギャップフェライト  モーター:4極ヒステリシスシンクロナスモーター  周波数特性:20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 15,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.050%(WRMS)  歪率:2.0%(1kHz,0dB) S/N:63dB(DOLBY ON)、55dB(DOLBY OFF) 重量:7kg

D-800  99,800円


 1977 年 4 月のカタログより。ちなみにわたしの誕生年です。スラントメカの初代 3 ヘッドデッキ D-500 の後に発売されたモデル。中身は D-3500 とほとんど同じと考えてもよいと思います。 スラントメカの 3 ヘッドデッキはわたしが知る限りではこのモデルが最後です。
 こちらは D-500 と違い、ウッドケースが標準装備、DOLBY NR 搭載です。テープ感度は D.C.C.S(ドルビー・キャリブレーション・コントロール・システム)により 左右独立で調整できます。PLL サーボ DC モーターでワウ・フラッターも 0.05% を確保しています。
   D-3500 と同じくかなりレアなデッキなのですが、このデッキは実物を見たことがあります。 リサイクルショップに置いてあったのですが、あと少しのところで入手を逃してしまい、 非常に悔しい思いをしました・・・。なんとも言えない雰囲気を醸し出していて、かなり 魅力的でした。本当に残念・・・。音を聞いてみたかったです。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:R&P コンビネーション(フェライト) 消去ヘッド:ダブルギャップフェライト  モーター:位相制御 DC モーター×1  周波数特性:20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 15,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.050%(WRMS)  歪率:2.0%(1kHz,0dB) S/N:63dB(DOLBY ON)、55dB(DOLBY OFF) 重量:9.3kg

D-650  69,800円


 同じく1977 年 4 月のカタログより。わたしが所持している D-610mkU より先に出たデッキかどうか 分からないのですが、中身は D-610mkUとほぼ同じといっていいと思います。スラントメカから 正立透視型デッキになった初期モデルです。
 なんといっても当時この値段で 3 ヘッドでデュアルキャプスタンメカですからなかなかのものです。 ワウ・フラッターの値は大きめですが、1 モーターですからそんなもんだと思います。3 ヘッド動作 表示モニターやマイク・ライン独立録音ボリューム等、高級機と遜色ない造りです。
 また、ドルビー NR とはまた違った DNL(Dynamic Noise Limiter)というノイズ低減システムを 搭載しています。この効果はどんなものなのか、確かめてみたいものです。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:R&P コンビネーション(フェライト) 消去ヘッド:ダブルギャップフェライト  モーター:DC サーボモーター×1  周波数特性:20 〜 18,000Hz(クロム)、20 〜 16,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.07%(WRMS)  歪率:2.0%(1kHz,0dB) S/N:60dB(D.N.L ON)、60dB(D.N.L OFF) 重量:7kg

D-900  ?円
 このデッキはなかなか目にすることはありません。その存在は知っていたのですが、 全くもって資料を持っていませんでした。デザインからして多分 D-980 の先代モデル だと思います。幸いにも、本ホームページのリンク先でもある「昭和カセットデッキ 研究所」さんで紹介されていますので、参考になさって下さい。

D-980M  118,000円


 1979 年 11 月のカタログより。D-3300M がオートキャリブレーションシステムを搭載した 高級機とするならば、D-980M はマニュアルキャリブレーションの高級機といえるでしょう。 別途紹介している D-90s の上級モデルに位置します。キャプスタン駆動は自慢のユニトルク DD モーターで、ワウフラ 0.03% を確保しています。もちろんデュアルキャプスタンで、 1.4mm クローズギャップヘッドを搭載しています。D-3300M にはありませんが、3 ヘッドシステムインジケーターがあります。キャリブレーションはバイアス 微調整と D-800 にも搭載されている D.C.C.S 内蔵です。
 ちなみに、このモデルはメタルテープ対応となったモデルで(そのために数字の後ろに "M"がついています)、先代に D-980DD というモデルがあったような気がします。 そのためか、メタルテープのポジション切替は他の 3 ポジション切替とは独立した ボタンになっています。
 このデッキは D-3300M と平行販売されており、キャリブレーションをオートかマニュアルかで 選ぶことができるようになっていたのは歓迎ですね。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:クローズギャップメタル R&P コンビネーション 消去ヘッド:ダブルギャップメタル  モーター:DC サーボモーター×1、DC モーター×1  周波数特性:20 〜 21,000Hz(メタル)、20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 18,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.030%(WRMS)  S/N:68dB(メタルテープ、DOLBY NR ON)、60dB(メタルテープ、DOLBY NR OFF)   重量:7kg

D-5500M & D-5500MB  220,000円
 

 1979 年 11 月のカタログより。これぞローディの最高峰デッキ、型式 4 桁シリーズの頂点 となるデッキです。なんと言っても世界初のオートキャリブレーション機構である ATRS(オートマチック・テープ・レスポンス・サーチ・システム)を搭載しているのが 大きな特徴でしょう。バイアス・感度監視用の独立メーターも好感が持てます。 また、当時としてはまだまだ珍しい赤外線ワイヤレスリモコンも付いていました。
 ヘッドはそれまでの 3.4mm ギャップから 1.4mm になり、チタン溶射のハイパボリック形状 になりました。とにかく、魅力満載のこのデッキ、欲しいですが置き場所に困りそうです。 どんな音なんでしょうか? これもどこかで大事にされている方がいらっしゃるでしょう。
 このデッキもシルバーモデルはメタルテープ対応となったモデルで 、先代モデルとしてメタルテープ非対応の D-5500DD というモデルが あります。そして、もう一枚の写真のように、当時ローディがシリーズ展開していた メタルブラックシリーズもありました。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:クローズギャップメタル R&P コンビネーション 消去ヘッド:ダブルギャップメタル  モーター:ユニトルク DD モーター×1、DC モーター×1  周波数特性:20 〜 22,000Hz(メタル)、20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 20,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.028%(WRMS)  S/N:69dB(メタルテープ、DOLBY NR ON)、60dB(メタルテープ、DOLBY NR OFF)   使用マイクロコンピューター:4 ビット 1 チップ バイアス・イコライザー・感度 可変ステップ:16 重量:14kg

D-90s  79,800円


 1979 年 11 月のカタログより。3 ヘッド・クローズドループデュアルキャプスタンメカ搭載 の中堅機種です。これ以前のローディのカセットデッキとは対照的に、高さが抑えられ 大変スッキリしたデザインになりました。そのためか、グッドデザイン賞を受賞しています。 でもわたしは D-90s より次のモデルとなる D-E90 の方が好きです。
 このデッキより上級機となるデッキは 10万円を越えてしまいますが、D-90s は価格を 抑えながらもツボを抑えた造りになっています。ヘッドはもちろん 1.4mm クローズギャップ コンビネーションヘッド。上級機と同じく 3 点支持でダイキャストヘッドベースに固定 されています。メカも 2 モーターメカで、テイクアップ側のフライホイールは大型で 重量級です。 D-E90 とほとんど同じメカなのですが、再生・録音時の巻き取りリールの駆動方式が 違います。キャリブレーションは、発信器は非内蔵ですが、バイアス調整および左右独立で感度調整 ができます。
   特性を見ても、先代モデルより性能は向上しているといっていいでしょう。 基本性能を抑えたいいデッキだと思います。D-E90 と中身はほぼ一緒ですので、そちらも 参考頂ければと思います。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:1.4mm クローズギャップメタル R&P コンビネーション 消去ヘッド:ダブルギャップメタル  モーター:DC サーボモーター×1、DC モーター×1  周波数特性:20 〜 21,000Hz(メタル)、20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 18,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.040%(WRMS)  S/N:68dB(メタルテープ、DOLBY NR ON)、60dB(メタルテープ、DOLBY NR OFF)   重量:7kg

  D-80s  69,800円


 同じく 1979 年 11 月のカタログより。D-80s は簡単に言えば D-90s をシングルキャプスタン とし、バイアス・テープ感度キャリブレーションを省略して価格を抑えた普及機と言えます。 でも、ちょっと考えると、D-90s と 1 万円程度の差でしかないので、D-90s の方がお買い得 のような気がします。D-90s と大きく違うのは、上記の 2 つに加え、レベルメーターが dB ピークメーターになっていることです(D-90s は VU計)。また、シングルキャプスタン 仕様のためか、D-90s の DC モーターに対し、D-80s は電子制御 DC モーターに格上げされています。
 D-90s や D-E90 に比べて生存台数も少ないように思います。ドルビー NR を使わないので あれば、気軽に使える 3 ヘッドデッキと言えるかもしれません。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:1.4mm クローズギャップメタル R&P コンビネーション 消去ヘッド:ダブルギャップメタル  モーター:電子制御 DC サーボモーター×1、DC モーター×1  周波数特性:20 〜 20,000Hz(メタル)、20 〜 19,000Hz(クロム)、20 〜 18,000Hz(ノーマル) ワウ・フラッター:0.040%(WRMS)  S/N:67dB(メタルテープ、DOLBY NR ON)、59dB(メタルテープ、DOLBY NR OFF)   重量:7kg

D-2200MB  138,000円


 1982 年 8 月のステレオ総合カタログより。4 桁シリーズの中で一番人気があるのが このモデルと言っていいでしょう!何とも独特なデザイン、ヒタセンライトヘッドや 高域専用のレベルメーター等、デッキマニアの心をくすぐる装備が付いています。 V.C.メタルヘッドベースが採用されたのもこのモデルが最初だったと思います。 もちろん、キャプスタン駆動はユニトルク DD モーター、テープキャリブレーションは ATRS です。
 このデッキは大事に使っていらっしゃる方が多いと思います。機会があれば、音を 聞いてみたいです。ネット検索すればそれなりにヒットしますので、情報は得やすいと 思います。

D-99MB  105,000円


 同じく 1982 年 8 月のステレオ総合カタログより。このデッキは D-2200MB と平行販売されて いました。D-2200MB に比べるとスッキリしたデザインです。
 悪くないデッキだと思いますが、ヒタセンライトヘッド搭載の D-2200MB や D-9 に 比べて人気はちょっと落ちるようです。音もやっぱり差があるんでしょうかね・・・? ちなみにこのモデルはシルバー色もあり、D-99 という型式でも販売されていました。
 このデッキは、以前 H/O でジャンク品で売られていたことがあったのを見たことが あります。買っておけば良かったと思う今日この頃です。また、このデッキは本ホームページ のリンク先でもある「山の旅へ」さんでも紹介されています。  

D-88  79,800円


 1981 年 8 月のカタログより。透過型の 針式メーターが特徴的です。テープカウンターが電子式になり、普通の 3 桁カウンターと 分・秒表示のカウンターが独立しているので、中堅デッキにしては充実した装備といえるでしょう。 また、ダイレクトドライブでないデュアルキャプスタンデッキで初めて(多分)ドルビー C を内蔵 したデッキでもあります。ただし非常に残念なのは、テープ感度キャリブレーションが省略されて いることです。写真のように、 D-88 はバイアス調整しかできません。折角ドルビー C を搭載したのに・・・。感度調整が ついていたら、もっといいデッキだったと思います。ヘッドも新形状チタン溶射で、高飽和磁束 密度フェライトを採用しています。再生ヘッド初段 FET アンプも先代譲りです。
   シルバーボディのちょっとメカニカル的デザインも相まって、所持してみたいデッキの 1 つです。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:新形状チタン溶射 1.4mm クローズギャップ R&P コンビネーション  消去ヘッド:フェライトガード付きダブルギャップ  モーター:電子制御 DC サーボモーター×2  ワウ・フラッター:0.035%(WRMS) 周波数特性:20 〜 21,000Hz(メタル)、20 〜 20,000Hz(クロム)、20 〜 18,000Hz(ノーマル)   S/N:75dB(メタルテープ、DOLBY C NR ON)、61dB(メタルテープ、DOLBY NR OFF)   重量:5.4kg

D-8  79,800円?

 D-707 の先代モデルといえるのが D-8 です。D-88 の後継機で、ヘッドおよびメカは同様と いえると思います。メーターがディジタルピークメーターになったのが特徴です。
 この 1 桁シリーズのデッキも、先代に比べて大分デザインが変わりました。カセットデッキ コレクションでも紹介している D-1 のようなデザインです。大分好みの分かれるデザインだと 思います。残念ながら 1 桁シリーズの 3 ヘッドデッキの資料は持ち合わせていません。 ただ、D-1 のページで紹介しているように、以前この D-8 は所持したことがあります。 D-88 と同じで、折角ドルビー C 内蔵なのにテープ感度調整はできません。バイアス可変のみ です。かなりのジャンクだったので、音は・・・???です。

D-9 ?円

 名機と名高いのが、D-2200MB と同じくヒタセンライトヘッドを搭載している D-9 です。 もちろん、キャプスタンモーターはユニトルク DD モーターで、ATRS を搭載しています。 D-9 は D-99 と違い、次に紹介している D-909 のように手動でもキャリブレーションが できるようになっています。
 オークションでも結構高値になるモデルです。こちらは、本ホームページのリンク先でもある 「がらくた文書工房」さんで詳しく紹介されていますのでご覧になってください。

D-909  120,000円


 1980 年代のカタログより。D-707 の兄貴分にあたるのがこの D-909 です。 D-707 との大きな違いは、キャプスタンモーターがユニトルクダイレクトドライブ モーターであること、自動キャリブレーションシステムである ATRS を搭載している ことです。よって ATRS 搭載の最終機となります。 詳しい事は分かりませんが、音楽ソースの違いによっても最適バイアス 設定してくれる新型 ATRS を搭載していたみたいです。もちろん、キャリブレーション は手動でもできるようになっていました。面白いのは、バイアスを可変するのではなく、 イコライザーを可変できるようになっていることです。これは先代モデルの D-9 や 3 ヘッドリバースデッキ の D-X10 も同じです。また、D-707 には採用されていなかった V.C メタルヘッドベース がおごられています。細かいところでは、D-707 にはない MPX フィルターも付いていました。

   個人的には、D-909 はあまり欲しいと思っていません。音を聞いたことはありませんが・・・。 D-707HX と D-909 では、果たしてどちらが勝るでしょうか?  D-909 はネット検索すれば 他のサイトでも紹介されています。本ホームページのリンク先でもある「昭和カセットデッキ 研究所」さんでも紹介されていますので、参考まで。

【主な特性】
  録音・再生ヘッド:新形状チタン溶射 R&P コンビネーションヘッド  モーター:ユニトルク DD モーター(キャプスタン)  周波数特性:30 〜 20,000Hz(メタル) ワウ・フラッター:0.018%(WRMS)  S/N:75dB(メタルテープ、DOLBY C NR)  重量:6kg

「ローディのカセットデッキコレクション」へ戻る