SONY TC-K222ESA


  
SONY TC-K222ESA

 1991 年製造。定価は 60,000 円です。ESシリーズの末っ子ですが、60,000 円でダイレクトドライブ のデュアルキャプスタン、レーザーアモルファスの 3 ヘッド機という大変お買い得モデルでした。 末っ子ですが、上級機の TC-K555ESA、333ESA と付属機能は同じで手抜きはありません。

 このデッキはわたくしにしては珍しく新品購入(思えば新品で購入したのはこれと別途紹介の パイオニア、T-07S のみです)、というか実は自分で買ったのではなく高校の入学祝で親が 買ってくれたものです。それまではラジカセしかありませんでしたから、初めて単品コンポーネント のデッキを手にした時は嬉しかったものです。それまで家にはノーマルテープでしか録音できない ラジカセやモノラルカラオケセットくらいしかありませんでしたから、とにかく録音レベルが自分で調整できて、ハイポジや メタルの録音ができるデッキが欲しかったのです。なので、普通はプレーヤーやらアンプ、スピーカー といったところからコンポを揃える方がほとんどだと思いますが、わたしは何より早くカセットデッキ を揃えたのでした。

SONY TC-K222ESA

 先にも書きましたが、機能は上級機と同じです。キャリブレーションはバイアス・感度に加えて イコライザーも 3 段階で調整することができます。NR は MPX フィルター付きで B・C です。 DOLBY HX PRO は入切可能。ライン入力は 2 系統で、CD ダイレクト時はバランス調整抵抗と MPX フィルターをバイパスします。バランスつまみの上にはディスプレイ ON・OFF スイッチがあり、 カウンタ表示を残してディスプレイ全消できます。ソース・テープのモニター切り替えは自動 です。ただしローディと違って録音状態ではソースのままです。操作ボタンは大きく使い易い です。AMS(Automatic Music Sensor、自動選曲) キーは独立して います。センターメカではないのでディスプレイが大きく、レベルメーターも大きく振れて いい感じです。

SONY TC-K222ESA

 アルミパネルのカセットホルダーになって前作 222ESG、222ESL よりすっきりしたデザインになったと思います。 ヘッドホン出力はボリューム付き。背面の RCA 端子と同じく金メッキ端子です。

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 天板を開けた状態です。まず目に付くのが前後パネルを連結する 3 本のアーム。これで天板を 外しても強固な筐体を維持しています。222ESA 専用設計のリジットビームシャーシです。 基板は 1 枚で右上が再生回路、右下が録音回路、左上が電源回路、左下が制御回路と 明確に分かれています。逆に上級機よりスッキリしています。
 また、回路配線には ESC-OCC 線材が使われています。

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 電源回路部です。平滑コンデンサは 5,600μF。ちょっとしたプリメインアンプと同じです。 わたしの使っているメインアンプの HA-270 と同じですしね。銅メッキのヒートシンクといい、60,000 円 のデッキとは思えない作りです。

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 録音回路部です。綺麗に左右対称配置になっています。一番左側の IC 周りが HX PRO の部分です。 555ESA,333ESA はバイアス周波数が 210kHz ですが、222ESA は160kHz です。

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 再生回路部です。左側に見えるオペアンプのすぐ左のコネクタが再生ヘッドのコネクタです。 再生ヘッドからの入力はローディと同じく初段を FET で受けています。ちなみに、ドルビー S が 採用された次のモデルである 222ESJ 以降は FET 入力は採用されていません。

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 制御回路部です。1 IC で簡素です。中身はよく分かりません。

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 メカを後ろから見た写真です。上方にメカ駆動用とリール駆動用のモーターが 2 個あります。 キャプスタンはリニアトルク BSL (ブラシ・アンド・スロット・レス)モーターです。 このモーターの基台はモノコック構造の亜鉛ダイキャストにマウントされています。 キャプスタン軸受けはソニー独自の サファイアを用いています。Lapis とソニーでは言っていました。ちなみにサファイアを 使っているのはテイクアップ側のキャプスタンのみですが、555ESA になるとテイクアップ 側もサファイアを使っています。リンク先のページでも紹介されていますように、モーター制御回路の実装コンデンサが 気になりますが、今のところ大丈夫みたいです。

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 カセットホルダーの内側です。ESA シリーズから新規に設けられたのが、ソルボセインを使った カセットスタビライザーです。

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 前面のカセットリッドを外した写真です。白く見えるセラミック製のカセットホルダーも相まって、 カセットの上要振動を軽減する対策がなされています。

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 PC-OCC 巻線のコンビネーション型レーザーアモルファスヘッドです。はい、知ってる方なら 何かおかしいとお思いでしょう。ESA シリーズのヘッドは、カセットテープ のパッドの押し付け圧力を逃がすために、ヘッドの表面に凸部を設けたヘッドが採用された、 パッドプレッシャーリダクション方式なんですが、所有のデッキにはこれがありません。
 
SONY TC-K222ESA

 上の写真はカタログのものです。青く見えるポッチが凸部なわけです。 実はこのデッキ、ヘッドを 2 回交換しています。在庫の残っているヘッドから修理していく みたいで、修理返却後ソニーに問い合わせてもこの方式のヘッドには交換してくれませんでした。 まあ、あってもなくてもあんまり変わんないってことですか・・・。実際音の違いはわたしには 分かりませんけどね。でもメーカーの対応としては??ですね。

 購入当初、テープ走行が安定せずこもり音になることがあったり、キャリブレーション上能に なったり、いまいち調子が悪いデッキだったんですが、今も使っています。最後の修理は 2001 年。ヘッド交換と合わせゴム部品類も交換してあります。たまに停止ボタンを押したのに 巻き戻しするなど誤動作する時もありますが・・・。
 それから、ソニーのデッキで便利だなと思うのが、クリーニングモードがあることですね。 イジェクトボタンを押しながら電源を入れると、カセットドアが開いたままで再生状態に なります。ピンチローラーが回りながら掃除できるのですごい楽です。

 音は、自己録再は文句なしといった感じです。これまで TC-K555ESG の音なども聴きましたが、 222 で充分じゃない?って思ってしまうくらいです。帯域も広く、スッキリとした非常にいい音 なんですが、他のデッキで再生すると何となく元々の元気がなくなるというか・・・。。 Lo-D と比べると大人しい感じですね。デッキ自身はすごく良くできていると思います。 記念品ですので、これからも使い続けたいと思います。

TC-K222ESA 特性
項目 特性
録音再生ヘッドPC-OCC 巻線レーザーアモルファスヘッド
消去ヘッドセンダスト&フェライトヘッド
モーターキャプスタン:ダイレクトドライブリニアトルク BSL モーター
リール用およびメカ駆動用:DC モーター各 1 個
ワウ・フラッター0.022%(WRMS)±0.04W peak
周波数特性15~22,000Hz±3dB(EIAJ)、15~16,000Hz±3dB(-4dB 録音)、(メタル、SONY ES-Ⅳ)
15~20,000Hz±3dB(ハイポジ、SONY ES-Ⅱ)
10~17,000Hz±3dB(ノーマル、SONY X-Ⅰ)
SN比(メタル、SONY ES-Ⅳ)76dB(DOLBY C NR)
70dB(DOLBY B NR)
61dB(DOLBY C NR)
ひずみ率(メタル、SONY ES-Ⅳ)315Hz、3 次高調波ひずみ率1.3%
バイアス周波数160kHz
入力端子ライン入力& CD ダイレクト入力
最小入力レベル:1.6V、入力インピーダンス:47kΩmV
出力端子ライン
規定出力レベル:0.5V(負荷インピーダンス 47kΩ時)、適合負荷インピーダンス:10kΩ以上
ヘッドホンジャック
規定出力レベル:0~1.25mW 連続可変(32Ω)
消費電力19W
外形寸法幅 430mm×高さ 135mm×奥行 360mm
重量7.1kg


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