カロッツェリア+ロンサムカーボーイ


  
ナカミチに交換してまたしばらく楽しんでいましたが、実は Mobile Tuner Deck 1 には 一つ上満な点がありまして・・・。それは、テープ走行のフォワード側とリバース側 で別々にアジマスを合わせ込まないといけないことです。デッキの詳しい方なら 「そんなの当たり前だろ《と言われそうですが、いや、元々買った当時は アジマス調整のダイヤルを基本的に真ん中にしておけば、フォワード側もリバース側 もそんなに音色の違いを感じなかったんです。でも、そのうちどうしても フォワード側とリバース側の高音の伸びの違いが気になりだして、ヘッド交換も 含めオーバーホール的なことをメーカーにしてもらったんですが、その傾向は 変わりませんでした。

 まあ、それならリバースさせずにテープをひっくり返せばいいんですが、 ここにきてまた「ナカミチを毎日使うのはもったいないかな・・・《などどバカな ことを考え出したこともあり、オーディオを MARKⅡ の時代に戻してみました。



 この超ジャンクな感じ、いかがですか(爆)。H/O で 100 円で売っていたパイオニア のアンプレスカセットデッキ、KPX-888 です。1998 年頃購入しました。 「動くんかいな・・・《と思いながら買ったのですが、見かけによらずしっかり動いてくれました。

 確かパイオニアがカロッツェリアブランドを売り出した最初のモデルだったと思います。 当時にしてはこの 1DIN サイズでありながら多彩な機能を盛り込んでいて、わたしも実物 をみてスゴイと思いました。

 まず、なんといってもデッキにイコライザーが内蔵されていて、しかも 1DIN サイズで 本格的なスペクトラム・アナライザー表示が搭載されていることに驚きです。このディスプレイは、 スペアナ表示はもちろん、テープの走行状態やイコライザーの設定までも表示してくれます。 イコライザーは 3 種類まで登録可能、しかも フロント・リヤを独立して調整できるんです! 上の写真のように 7 バンドの周波数帯域で調整できます。



 これが、テープの動作状態を表示している時です。赤い表示がクルクル回って、 矢印表示がテープの進行方向に合わせて流れていきます。



 イコライザー設定時の表示です。



 フロントパネルは電磁式で開きます。閉めるのは手動です。パネル裏側のイルミネーションも 凝ってます。なんとも格好いいです! 左に見えるスライダーはフェ―ダーとバランス調整 ボリュームです。主音量は電子ボリュームです。



 ローディと同じように、パネルの裏側にはシステム構成が書かれています。うーん、たまりません!



 夜の動作状態です。いい感じですよね。

 ちなみにこのモデルの上級機として KPX-999 という機種があります。こちらはドルビー C まで 内蔵しているみたいですが、他にどこが違うかまでは分かりません。デザインは同じといって いいでしょう。

 ここまで何事もなかったかのように書いてきましたが、今回取り付ける前に最後に動かしたのは 2004 年 の頃。ベルト類がヘタって動かないんじゃないかなと思いながら出してきたのですが、案の条、 動きませんでした。このモデルは、とにかく小さい角ベルトが使われているのを確認していたので、 これはそのうち絶対伸びるだろうと思っていましたから、まあ想定内ですが。というわけで、取り付ける 前に分解です。



 天板を開けるとこんな感じです。左側の基板がヘッドとつながっていて再生回路部分になってます。



 メカを外すとIC が居座っています。これがスペアナやイコライザを受け持っているんでしょうね。



 再生回路基板です。おお!ここでもドルビー IC は日立製です!



 メカの裏側です。キャプスタンベルトはまだ使える感じでしたが、折角なので昔使っていた KX-E60 という モデルの部品として購入してあったベルトに交換です。今回は珍しくギア回りも掃除してグリス を塗りました。



 今回ダメになったのはこのベルトです。ヘッドを回転させる部分で、このように 小さくて細いベルトを使っています。プーリーの脇に見える 2 本のマイナスネジが ヘッドのアジマス調整ネジです。ヘッド周りの剛性がちょっと弱いのが気になります。



 幸いにもこのベルトはまだ入手できます。パイオニアの部品は古いものでも比較的手に入りやすい のでありがたいです。



 ベルトを交換するにはヘッド周りの部品を外す必要があります。でもそんなに難しくはないです。 ベルトを交換して再組み上げ。本当はピンチローラーもカチコチなので交換したいところですが、これは 既に部品はないとのことでした。ひとまず 動くので見送りです。

 ところで、KPX-888 にはチューナーは内蔵されていません。当時同じシリーズで組み合わせ ができるチューナーが販売されていましたが、残念ながらそのチューナーは売り場に一緒には ありませんでした。しかし! 実はもっとレアなチューナーが置いてありました。



 見た瞬間、「これは買わねば!《と思いました(笑)。ロンサムカーボーイのデジタルチューナー、 GEX-90 です。



 機能は十分です。FM は 10 局、AM は 5 局まで登録できます。チューナー独立でボリューム、 BASS、TREBLE 調整ができ、ラウドネスもついてます。放送局のオートサーチももちろんできます。 時計まで内蔵していて文句なしです。



 しかし、そのままでは KPX-888 と GEX-90 を組み合わせて使うことはできません。お互いを 接続するケーブルのコネクタが違うからです。KPX-888 の出力端子は一般的な(今は一般的ではないですが) 8 ピンの DIN 端子なのですが、GEX-90 の入力端子は上の写真のようにそれより前の型の 8 ピンなんです。 が!運良くこんなものが あったんです・・・。



 これもかなり貴重と思われるコネクタ変換器です。これで KPX-888 の出力を GEX-90 に入力することができます。しかも、音声信号だけでなく制御も連動していて、 例えばチューナーを聴いている状態でカセットを再生すると、自動的にチューナー電源 が切れてデッキの出力をアンプにスルーさせることができるようになっています。

 それとは逆に、GEX-90 には「MIX《ボタンがあり、これをオンにしておくと、 チューナーの音声と外部入力の音声をその吊の通りミックスさせることもできます。 例えば、ナビゲーションの音声案内を FM で飛ばして、「MIX《をオンにしておけば、 カセットを聞きながらスピーカーから音声案内も割り込ませることができまず。 そんな先進的な機能がロンサムカーボーイの時代に既に確立されていたとは・・・(笑)。



 さてさて、KPX-888 も GEX-90 もアンプレスですから外部アンプが必要です。 当時モノの 2 チャンネルアンプ 2 台です。フロントが GEX-90 と直で接続する GM-4 (写真 左側、20W+20W)、リアが GM-41A(写真右側、30W+30W)。GM-41A の代わりになるアンプ は他にも持っているのでいいのですが、旧規格 DIN 対応のアンプは この GM-4 1台しか持っていないので大事に使わなくては・・・。相変わらずの配線の 汚さはご愛嬌で・・・。

 久しぶりにこの組み合わせで音を聞くと、いやいや侮れないんです、これが。高域も しっかり伸びて、ナカミチからの移行でも上満なしです。また、低域はむしろこっち の方がズシンと響いてきて好感触です。  

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