Lo-D DA-503D


  
Lo-D DA-503D

 1986 年製造(想定)。定価は 66,800 円と、何とも中途半端な値段でした。この頃の Lo-D で 人気のあるモデルと言ったら、DA-703D ですね。Lo-D らしからぬ 物量投入機種で、構造に凝った VC ソリッドベースシャシーやツイントランスで重量 10kg 超え、 そして当時としてはまだ珍しい DA コンバーターを 4 個搭載したもので当時定価 87,000 円と、 お買い得モデルだったように思います。80 年代後半を代表する人気モデルと言っても過言ではない DENON の DCD-1650 の先駆けみたいな機種が DA-703D と言ってもいいと個人的に思います。

 その DA-703D の弟分がこの DA-503D です。この 503D、703D の装備と値段で比べてみると圧倒的に 703D の方がお買い得品としか言いようがなく、オークションでも人気はないといっていいでしょう。

 わたしの 503D は会社の人からもらったものです。多分わたしもお金を出して探すんだったら 703D の程度のよいものを探すでしょう。ただ、この 503D は外観こそ一部傷があるものの、 程度もよく動作も比較的安定していること、もらいものでもあること、人気がない機種だから逆に 残そうとの思いで手元に残しています。703D の情報はネット上にいろいろとありますが、 503D の情報は「オーディオの足跡《さん以外ほとんど無いです。ですのでまた、ここで紹介して いきたいと思います。どうしても 703D と比べてしまいますが、なかなかいいプレーヤーです。

DA-503D

 宣伝ステッカーが貼られているので、発売初期のものと思われます。伝統の 3 スポットレーザーピックアップであることと、2 倊オーバーサンプリング デジタルフィルターであることがトレイ位置左下に表示されています。筆記体の表示は「Digital Output《です。 デジタル出力は同軸端子のみです。ヘッドホンプラグ接続口は金メッキ仕様です。

 定番の上具合である、トレイ駆動用ベルト が伸びてトレイ開閉が出来ない症状がありましたので、代用品に交換しています。ベルト径は φ30mm で 1.6mm 角がわたしの推奨寸法です。ベルトが緩んでくると CD を読み込まなくなりますので、 1.6mm の太目の角ベルトがお勧めです。

DA-503D

 大型表示部の左側には 10 キーをはじめとした各種キーが並んでいます。 宣伝シールにも書いてあるように、テープ録音時の編集機能は充実しています。 わたしは使いませんけど・・・。 表示部はとても見やすく、703D と共用している部品です。

  DA-503D

 ここは 703D と同じ。4DAC を誇らしげに LED で電光表示しています。こういう演出はいいですね。

DA-503D

 トレイは 8cm CD 非対応です。1986 年ではまだ 8cm CD は出ていませんからね。トレイやメカも 703D と共通だと思います。

DA-503D

 本機の特徴の一つである VC エンクロージャー。天板の裏には粘弾性材を挟んで鋼板が1枚貼られています。 適度な重量があり好印象です。

DA-503D

 天板を開けた状態です。基板は 703D と共通のようです。回路構成や部品が違うわけですね。

DA-503D

 電源トランスは 1 基。703D は写真で写っているトランスにシールドケースが追加されているとともに、 後ろにもう 1 基トランスがあります。

  DA-503D

 電源回路部です。平滑コンデンサーは音響用に交換してみました。交換前の純正は、ごくごく普通に使われる 黒いコンデンサーです。純正のままだと、折角 4DAC なのに見た目にも寂しいです。

DA-503D

 制御系 IC です。

DA-503D

 703D では、デジタル回路系から DA コンバーターに信号を送る手前でフォトカプラによりアイソレート しているようです。503D はここがバイパスされています。逆にシンプル、ストレートでいいかもしれません。

DA-503D

 ここが本機の最大の特徴、4DAC です。それにしても DAD-3000 の頃の IC の大きさと比べると全然違いますね。

DA-503D

 DAC 以降のアナログ回路です。703D と比べると大分回路構成が違うようです。こうなると一概に優劣付け難い かもしれません。カップリングのコンデンサはニチコンのファインゴールドに交換しました。その他、パッと見 特に問題なさそうなコンデンサも、足元の部分をよく見ると腐食しているものがあったので交換しました。 ニチコンの青色コンデンサが弱いみたいですね。他のサイトでも、703D の同じコンデンサが弱いことが 紹介されています。

DA-503D

 メカ下部のシャーシには、気休めに鉛シートを貼り制振対策をしてみました。

DA-503D

 ピックアップやスピンドルモーター等が載せられているシャーシは、トレーやクランプの載る シャーシから4点ゴム支持でフローティングされています。手持ちの DA-401 とはまた違う構造の VC メカです。

 音質は、一聴して高域が綺麗です。帯域は広いですね。オーバーサンプリング機 かつ 4DAC ですから、その傾向を強く感じるのかもしれません。

 日立が自主開発した末期モデルであっても既に 25 年以上経っています。CD プレーヤーは本当に、 ピックアップの寿命を気にしながら使わざるを得ないのが悩みの種ですが、703D ほど残っていない モデルとも思うので、長く手元に残していきたいと思います。

 
DA-503D 特性
項目 特性
周波数特性 5~20,000Hz +0.5dB -1.0dB
ダイナミックレンジ 100dB
SN比 110dB
高調波ひずみ率 0.004% (1kHz)
セパレーション 100dB (1kHz)
ワウ・フラッタ* 測定限界以下
消費電力 12W
外形寸法 幅435×高さ115×奥行331mm
重量 5.8kg

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