DAD-005

1985年製造。定価は 99,800 円。セパレート中級機 DAD-003 の一体型機といっていいでしょう。
DAD-005 の見た目は トランスポート機 DAP-003 と比べても、ヘッドホン出力が無いのと
銅メッキシャーシではないくらいの違いしかなく、同じものです。セパレート機と同等の
音を10万円以内で・・・という機種になるかと思います。ただし、当時のライバル機と
比べると、物量感も DAC 構成も物足りなく感じてしまうのが正直なところです。
生存台数は少ないと思います。ネット上も「オーディオの足跡《さんくらいしか情報がありません。
後発の DA-006 の方が内容的にも良いように感じます。
DAD-005 はここで紹介している 1 台の他にもう 1 台入手しましたが、
どちらも電源を入れて数分聞くと勝手に制御系が落ちてしまい、動作上能になる事象を抱えていました。
本機の定番の故障と思われます。1 台は専門業者さんに診てもらいましたが、
その後も症状が再発しており、長く使える機種ではないように感じます。
そうはいっても動いている時の音は元気よく、少々荒っぽいですが
安っぽい音ではないと思います。でも、上記の上具合も含め、他社と比較しても
本機はあまりお勧めできません。

トレイ部はごく普通のデザインです。Lo-D ロゴではなく HITACHI ロゴが左上に表示され、
Lo-D ロゴはトレイ下です。1985 年から他の機器も HITACHI ロゴが主表示になったように思います。

表示部は DAP-003 と共通です。この表示部はこの 2 機種のみしか採用されませんでした。

操作系も DAP-003 と同じです。再生ボタンと一時停止ボタンのマーク部分は LED で光ります。
10 キーなどはキーの高さ方向の寸法が短いので押しにくい感じです。

天板を開けた状態です。主基板に小基板が3つ刺さっている構成です。
主基板は、「高速化事業部《さんのページで公開されている DAP-003 の写真を見ると共用基板のようです。
正に DAP-003 にオーディオ回路を載せましたということですね。

電源トランスの容量は14.2VAです。DAD-005 は、電源を入れると、このトランスの
唸り音がかなり分かりやすく聞こえてきます。あまり振動対策が取られていないようです。
9 万円台の機種としては残念です。

トランス直後にすぐ整流されています。オーディオ系、メカ系および制御系は独立電源構成です。
ダイオードはわたしが交換していいるため純正品ではありません。

4,700μF のピュアフォーカスコンデンサが使われており、電源部は充実しています。
ただ、先ほどの整流後から電源部を接続している平コネクタ線が細いのが見た目にも
残念です。
手前の 2 本の茶色いコンデンサは純正品ではありません。これもわたしが交換しています。

サーボ調整系です。フレキシブルケーブルのピン数は DAD-600 とは違うので、
メカの基本構成は変わらないですがピックアップは共用できないようです。

制御 IC です。

続いて主基板に刺さっているオーディオ回路です(真ん中の基板は違うようです。リモートコントロール用でしょうか?)。
アナログ回路は左右独立基板のように見えますが、左右対称で構成されているわけでもなく、
なんだか中途半端な感じに見えてしまいます。

真上から見て一番右側の前側にデジタルフィルター(NPC SM5800P)とDAC(バーブラウン PCM54HP)の J グレードが搭載されています。
この構成は、「B級オーディオファン《さんの中で紹介されている、YAMAHA CD-2000 と同じに見えます。
この構成に利点があったのかどうかは分かりませんが、詳しくはこちらのページをご覧頂いた
方が早いかと思います。
B級オーディオファン YAMAHA CDX-2000
DAC の隣に IC HA12077NT が見えることからしても、基本設計は HDA-003 と同じことが分かります。

アナログ回路部には、カタログにも謳われている防振構造AWDコンデンサ、ブチル防振銅箔スチロールコンデンサ等が
が使われています。アナログフィルターのケースに銅板が貼り付けてあるのはわたしの後付けで、
少しでも放熱対策をと思ったものです。DAD-3000 や DAD-600 等と同じく、このフィルターが熱でダメに
なってしまうことが多いため、注意が必要です。

メカ部です。ディスク回転用のモーターは普通の DC モーターに
なってしまいました。ユニトルクモーターだったらなあと思ってしまいます。
モーターのディスクの台座はプラスチック製ではなく金属製です。
DAD-003 の性能を一つの筐体かつ約半分の値段で作り上げた DAD-005 は
お買い得といえばそうかもしれませんが、当時は DAD-003 よりも人気は
無かったように思われます。何より現時点で安定して動かないというのは、
音云々以前の話ですし・・・。
以下に DAD-005 の仕様を記載します。
特性
項目 |
DAD-005 |
チャンネル数 | 2チャンネル |
周波数特性 | 5~20,000Hz±0.5dB |
ダイナミックレンジ | 96dB |
SN比 | 97dB |
高調波ひずみ率 | 0.003%(1kHz,10次まで) |
セパレーション | 95dB(1kHz) |
ワウ・フラッター | 測定限界以下 |
ピックアップ方式 | 対物レンズ駆動方式光ピックアップ |
対物レンズ駆動方式 | 2次元平行移動 |
光源 | 半導体レーザー |
波長 | 780nm |
エラー訂正 | CIRC5重訂正 |
DAコンバーター | 16ビットリニア |
デジタルフィルター | FIR/121次 |
デジタルOUT | USピンジャック75Ω レベル2.0Vrms |
出力電圧 | 固定端子2.0Vrms |
消費電力 | 22W |
外形寸法 | 幅435×高さ93×奥行264mm |
重量 | 5.0kg |
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