Lo-D HCA-7500


  
Lo-D HCA-7500

 1978 年製造(想定)。定価は 60,000 円。このプリアンプは、私が生まれて初めて Lo-D ブランドの製品として目にした機種で、同時に初めて手に入れた Lo-D 製品です。

初めて HCA-7500 を見たのは中学生の時。町の電気屋の軒下に置いてありました。通学で いつもその電気屋の前を歩いていたので、軒下に置いてある製品は廃棄処分のものだと 分かっていた私は、早速電気屋さんと交渉。故障のため廃棄処分ということで、 そのまま譲ってもらいました。

 動作確認すると、PHONO 入力が音が出ない以外は問題ありませんでした。その当時は 本格的なレコードプレーヤーを持っていなかったので、そのままライン入力のみで 使い始めました。初めて手にした単品コンポーネント。嬉しかったものです。

 と、問題なく使っていたのですが、つないでいた電源タップの接触上良が断続的 に起き、数秒の間に断続的に本体の電源がオンオフされたことで電源周りが故障 したのか、電源が入らなくなり使用上能になってしましました。

 写真のものは、2 台目になります。これは入手当初から完動品でした。某オークション より 500 円で落札。カタログ写真を見ていただくと気付くと思われますが、フロントパネル の両端が削られています。本来ならラックマウント用にパネルが延長されており、 それがまたいいところでもあるモデルであって入札時も迷ったのですが、他の プリに比べて出品率がかなり低いモデルなので、安いこともあり入札しました。実は 1台目も捨てずに保管してあるのでそちらから移椊もできるのですが、普通に置く際には こっちのほうが置き易いということもあり、そのままにしています。

HCA-7500

 トーンコントロール部分です。BASS は 150Hz と 300Hz、TREBLE は 3kHz と 6kHz を境に、 調整範囲を切り替えることができます。また、トーンコントロールバイパスもスイッチひとつ で行えます。同時期の他モデル HCA-8300 は、更に左右独立で調整できるようになっていました。 低歪・低雑音設計で、ローノイズFET・トランジスタが使用されているようです。

HCA-7500

 フィルター選択部分です。普通アンプのフィルターというと、レコード再生時の低音域をカットする サブソニックフィルターぐらいしかないですが、これは高域側もカットすることができます。あまり 使う機会はないのですが・・・。

  HCA-7500

 セレクター部分です。ライン入力はテープも含め 4 系統。PHONO 入力は 2 系統です。

HCA-7500

 これも、他のプリにはあまりない機能です。通常の 2ch ステレオ出力の他に、左右逆転ステレオ出力、左右合成の モノラル出力、左右独立モノラル出力が可能です。左右の出力バランスを確認するには便利な機能 です。

HCA-7500

 ボリュームは 32 接点ディテンド型。dB 表示になっています。ミューティングスイッチもありますが、 音質的には良くないようです。オンにしたままボリュームを上げた音は、オフにして同程度の音量に した時の音より痩せた音です。

  HCA-7500

 これがこのプリアンプの最大の特徴と言ってよいでしょう。カートリッジロード切替が可能です。 左が負荷容量切替、右が負荷抵抗切替です。 カートリッジの出力インピーダンスとイコライザーの入力インピーダンスの違いで、音質はかなり 変わってきます。特に抵抗分の差が大きいと明瞭にその違いが現れます。4 段階ですが、できるだけ カートリッジとイコライザーで整合をとるための調整が可能です。普通のプリアンプにこの機能が あるのは、他メーカーを含めても数える程度だったようです。

HCA-7500

 天板を開けた状態です。フレームも入って結構しっかりした造りです。底板の銅メッキシートは、私が気休めに 貼ったものです。入力セレクタとフォノイコライザ(多分)は背面すぐの基板上に設置されており、好感が 持てます。黒い箱が見えるのは電源トランスのケースです。トランス自身は図体に似合わず小さめです。

HCA-7500

 どうやら他の機種と基板は共用のようです。多分 HCA-8300 だと思います。他にも同じようなところ があります。

HCA-7500

 ボリュームの下にあるのが、上で紹介しましたカートリッジ切替基板です。

 この 2 台目を手に入れる前は、下位モデル HCA-4500 を使っていましたが、音質的には やはりこちらの方が上のようです。聞き比べたというわけでもないのですが、フォノイコライザーの 特性も違いますし(HCA-4500 は IC 使用)、全体の作りも全く違います。いかにも 70 年代のデザインも 今のコンポーネントより格好いいです。ずっと動いてくれることを願って・・・。

HCA-7500

 7500シリーズのトリオ。HCA-7500 は、パワーアンプ HMA-7500 と FM/AM チューナー FT-7500 の組み合わせが 紹介されていました。3 台並べるといい感じです。
HCA-7500特性
項目 特性
イコライザーアンプ 初段低雑音トランジスタ定電流駆動バイポーラプッシュプル3段直結5石構成
コントロールアンプ 初段FET差動電流駆動バイポーラプッシュプル3段直結6石構成
入力端子 (感度/インピーダンス)
PHONO-1,2
TUNER
AUX
TAPE PLAY-1,2
2mV/100Ω、10kΩ、50kΩ、100kΩ/100pF、200pF、300pF、400pF
100mV/50kΩ
100mV/50kΩ
100mV/50kΩ
最大許容入力 ( mV )
PHONO-1,2 350mV(RMS 1kHz・ひずみ率 0.01%
出力端子 (レベル/インピーダンス)
TAPE REC OUT
OUT PUT
100mV/600Ω
1V/600Ω
周波数特性 (Hz)
PHONO-1,2
TUNER,AUX
TAPE PLAY-1,2
20~20,000(±0.2dB)
5~100,000(+0,-1dB)
5~100,000(+0,-1dB)
S/N (IHF Aネットワーク)
PHONO-1,2
TUNER,AUX
TAPE PLAY-1,2
87dB
100dB
100dB
高調波ひずみ率 (20~20,000Hz)
PHONO-1,2
TUNER,AUX
0.005%
0.005%
トーンコントロール
BASS
TREBLE
±10dB(50Hz)
±10dB(10kHz)
フィルター
LOW
HIGH
15Hz(12dB/oct)
8kHz(6dB/oct)
消費電力 10W
外形寸法 幅480×高さ166×奥行348mm
重量 8kg

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