D-707
1980 年製造(想定)。定価は 79,800 円。系統的には別ページで紹介しています D-8の後継モデルになります。
同時に発売された D-909 の
弟分になります。D-909 との大きな違いは、キャプスタンが
ダイレクトドライブではないことと、ATRS が
ないことです。初めて 7 シリーズが 3HEAD になりました。これまでと異なる
ブラックボディ(80年代の流行りですね)で、これまでのデザインから抜け出した
感じが個人的には気に入っているデッキの一つです。
テープセレクタは一般的な 3 ポジション、ドルビー NR は B と C が用意されていますが、
MPX フィルターが省略されてしまいました。最近は私自身 FM エアチェックもめっきり減りましたが、これがないのはちょっと上満です。録音ボリュームは左右独立式で、ダイヤル側に
目盛りがあります。D-77より回転させる時の抵抗感があり、比較的なめらかに回せます。
テープカウンターのデジタル表示は変わりませんが、アナログカウンタタイプではなく、
ちゃんとした分秒表示も可能(もちろん通常の4桁カウンタ表示も可能)になり、
結構精度もよく便利です。テープエンドでは「End《と表示され、最初まで巻き戻して
止れば数値が自動リセットされます。メーターはFL管のデジタルメータ(
ピークホールド付)になりました。0 dB 以上が赤色なのも私は好きです。
また、3HEAD になりましたから、ライン入力とテープ出力の切り替えスイッチがあります。
このスイッチは機械式ではなく電子式のため、
オートモニター仕様で作られています。
音質を考えると機械式が一般的ですが、利便性を考えるとこちらです。
上部に見えるのは、バイアス調整つまみと左右独立式録音感度補正つまみであり、
キャリブレーションが可能です。Lo-D のデッキは、手動の録音感度補正は左右独立が
普通です。他メーカーは一般的には左右独立ではありませんでしたから、
ある意味マニア向けといってもいいかもしれません。録音感度補正は
内臓の発信機を用いて調整できるようになっています。バイアスは、自分の耳を信じて
調整します。
カセットホルダーはフロントパネルとデザインを合わせスッキリしています。
3head のロゴがポイントです。
このデッキが売られていた時点で既に D-707HX を所持していましたが、
迷わず購入しました。再生上能とあったので、お決まりのベルト切れ
だと思い、まあ全然動かなくても 707HX と部品は共有できるから部品取りとして
持っていてもいいか・・・と思いつつ。
が、帰って天板を開けると、ベルトは程度良。しかし、フライホイールが
回りません。モーターは回ろうと努力しています。次いでヘッド周りを見ると、
上がったままになっています。どうやらどこかで引っかかっている感じでした。
そこで、初めてメカ部分の分解に挑戦しました。これまでの分解経験を考えると
元に戻るかどうか心配でしたが、結果、無事復活させることができました。
原因は、ある1本のネジの微妙な締め具合で、ヘッドブロックの昇降ができなくなる
ことによるものでした。D-707HX の先代ということだけあって、音質も
満足なデッキです。
内部構成図
シャーシの基本的な部分はこれまでと同様のようです。回路もこのころには
オペアンプが主役になってきました。
メカニズム部
メカもこれまでの7シリーズと同様(多分デュアルキャプスタンなのでD-77の兄貴分に当たるD-88
と同様)です。
電源トランスは D-77 とは違うものです。遮蔽版で囲ってあります。
ドルビー回路です。日立がドルビー用のIC を作っていたことが、今では信じられない
ことですね。これはお金掛かっています。
ヘッド部
外形は Lo-D コンビヘッドの最終型です。
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