D-600


  
D-600

 1975 年発売、定価は 68,000 円です。Lo-D の 1 ウェイ 2 ヘッド機としては値段も高めで 高級機に部類する機種です。メカ仕様は D-800 や D-500 の流れと同じスラントメカ、型番からも 同じシリーズであるといえます。

 このデッキの特徴は、 "オールフェライトヘッド" を搭載していることです。Lo-D の 2 ヘッド機は ハードパーマロイ系の"スーパーライフヘッド"搭載機がほとんどであり、フェライトヘッド搭載機は 珍しいです。どんな音なのかなと思い入手してみました。

  2 ヘッド機ではありますが、3 ヘッド機の D-800 にもあるような、メータ切り替え(VU or dB peak) 機能があります。ノイズリダクションはドルビーB、MPX フィルターも付いています。時代を感じさせるのは、 テープセレクターに"SPECIAL"の設定があることです。これは多分タイプⅢの設定なんだと思うのですが・・・?

 それから、これまた時代を感じるのは、"TAPE RUN"表示です。テープが回っている時は、テープ カウンター下の明かりが点滅して動作中であることを表示しているわけですが、 電球の前に切欠きの入った円盤があって、これを回転させて点滅表示させています。 簡素ですね。

D-600

 裏板を外した状態です。回路構成は全く違いますが、D-500 と構成は似ているのが分かります。

D-600

 電源トランス。中途半端な角度で取り付けられています。

D-600

 主基板です。このデッキは細長く 2 つ並んでいるカスタムスイッチの調子が悪いと大変です。 録音時にメカ側から伸びているステーがスイッチを押し込んで録音状態になります。

D-600

   ドルビー回路は電源回路の隣にあって、主基板とは離れています。他のデッキでは見たことのない モジュールで構成されています。ちなみに、電源の平滑コンデンサー(金色)はわたしが交換しているので、 純正ではありません。

D-600

 メカは D-500 と同じといっていいでしょう。

D-600

 ただしモーターは D-500 よりも上級の、電子制御 DC モーターが搭載されています。

D-600

 Lo-D としてはとても珍しい(?)2ヘッド用オールフェライトヘッド。その音はどんななんだろうと期待した のですが、この個体で聴いた音は期待外れでした。高域のエネルギー感がありません。帯域としては 伸びている感じはするのですが、どうしても詰まった音に聴こえました。コンデンサーも一通り 交換してみたのですが、傾向は変わりませんでした。

 そのため、今は手元にありません。本来の実力ではないような気がするのですが・・・。 スラントメカの 2 ヘッドデッキは、D-400 系ならオークションでも多くありますが、 この D-600 はまず出てくることはありません。あまり残存していない、貴重なデッキだと思います。

D-600特性
項目 特性
トラック形式4トラック2チャンネル
録音再生ヘッドAF(オールフェライト)×1
消去ヘッドダブルギャップフェライト×1
モーターDCサーボ×1
ワウ・フラッター0.08%(WRMS)
歪率2.0%(1kHz,0UV)
周波数特性20~18,000Hz(クロム)
20~16,000Hz(スペシャル)
20~14,000Hz(ノーマル)
S/N60dB(DOLBY ON)
53dB(DOLBY OFF)
入力(感度/インピーダンス) LINE IN 50mV/100kΩ以上
DIN IN 0.25mv/2kΩ
出力(負荷インピーダンス)MIC 0.25mV/300Ω~5kΩ
LINE OUT 50kΩ以上
DIN OUT 50kΩ以上
使用半導体9IC 19トランジスタ(FET含) 25ダイオード
外形寸法幅435×高さ144×奥行300mm
重量6.5kg
付属品USピンコード×2
UD C-60生テープ×1
ヘッドクリーニング棒×1

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