D-560


  
D-560

 1978 年製造。定価は 59,800円です。同時期に同価格で s シリーズ 2 ヘッドデッキ "D-77s" も 販売されていましたが、明確にキャラクターが異なります。s シリーズは先進のロジックコントロール と薄型デザイン採用に対し、D-560 はメカは昔ながらの機械式メカですが、 ローディのカセットデッキ初のデジタルピークメーター が採用されているのが大きな特徴です。
 ただし、"ローディ初"というのは実は微妙な話です。なぜかというと、同時期に 販売されていた D-3300M が、国内仕様はアナログメーターですが、輸出仕様は デジタルピークメーターだからです。そのため、"ローディの国内向けカセットデッキ初の"と 言った方が正確なのかもしれません。

D-560

 メカは D-550 シリーズと同じ VD 型と言われるパワーアシスト付きです。 動作はどうしてもワンテンポ遅くなります。マイク端子のヘッドホン端子の 並びも D-550 と雰囲気が同じですね。

D-560

 D-560 の特徴の一つが、 ピッチコントロールが付いていることです。 マイクミキシング機能で、カラオケを意識したデッキのためです。 回転精度を求めるならいらない機能ですが、他のデッキとの互換性を 求めるなら、ハイファイステレオであっても付いていてソンはない機能です。
 録音時は表示部の中の赤色 LED が光ります。

D-560

 テープセレクターはバイアスとイコライザーで独立式のスイッチになっています。 この辺は D-550 と同じです。しかし、D-560 はバイアス調整ボリュームが 新たに追加されています。2 ヘッドなので同時モニターしながらの調整が できないので、正しく活用するのはなかなか難しいです。
 ドルビー NR は MPX フィルター付きです。

D-560

 D-560 は先に述べた通りマイクミキシング機能が付いています。同時期に販売されていた s シリーズ などは、ラインとマイクの入力は切り替えスイッチで切り替える仕様になっており、 ライン入力とマイク入力を同時に録音することはできません。しかし、D-560 は ライン入力とマイク入力を混ぜて録音できるので、正にカラオケをラインで 入力してマイクで自分の声を入力してオリジナルテープを作ることが できるわけです。
 なお、わたしの知る限りでは、D-900, D-7500 および D-3300M はライン/マイク切り替えスイッチが無く、 D-560 と同様にマイクミキシング録音ができると思います。

D-560

 何となくというか多分というか、同時期のテクニクスのデジタルピークメーターに 似たメーターです。テクニクスの黄色系に対してこの青色系はクールですね。 格好いいです。なお、"PLAY MIXING" を ON にすると、再生出力レベルが低くなり、 メーターの振れも OFF の時より小さくなります。最初は ON のまま聴いていて、 このことが分からず、再生してもメーターの振れが明らかに小さいのが普通なのかなと 思っていましたが、ふと"PLAY MIXING" を OFF にしたら、他のデッキと同じレベル で再生できるようになったので、"そういうことだったのか"と思った次第です。

D-560

 天板を開けたところです。パッと見 D-550 に似た回路パターンです。この辺から "B 級オーディオファン"様の D-550 のページと見比べながら見て頂くと面白いかも しれません。
B級オーディオファン Lo-D D-550

D-560

 電源トランスは明らかに D-550 に比べ大きくなっており、遮蔽版も追加されています。

D-560

 電源部は普通です。

D-560

 左側に小さくまとまったバイアス回路と中央の再生回路部です。

D-560

 ドルビー回路部です。D-550 と同じく、この頃の標準 IC である HA11226 が使われています。

D-560

 デジタルメーターの回路部です。IC 2 個で簡素な作りです。

D-560

 メカ部です。一見、他のパワーアシスト付きと同じ構造ですが・・・。

D-560

 他の VD 型と違うのは、モーターを保持する部分がダブルインシュレーターに なっていることです。メカのメインフレームとモーターを保持するフレーム間をゴムで 支えると共に、他のデッキと同様、モーター保持フレームとモーター間もゴムで 支える方式です。これは AIWA の銘機 XK-009 や XK-S9000 と同じ!と言いたい ところですが、実はモーターの下側は同じ構造になっておらず、残念・・・。

D-560

 リール駆動用ベルトはモーター直結ではなく、フライホイールを介します。 ローディーのデッキは、ロジックコントロール機の方がベルト交換は楽です。

D-560

 ご参考までに、VD 型のメカのリール機構はこんな感じになっています。 巧妙なギアの組み合わせになっており、写真では見えない部分にも ギアがあります。よくこんな機構を設計したなと感心してしまいます。 リールが普通に動いている限りは、ここには手を入れない方が無難です。 戻せなくなります。

D-560

 ヘッドはお馴染みのスーパーライフヘッド。パワーアシストメカは、 停止時は写真のようにヘッドは右下がりの斜めの状態になっています。 スイング式でヘッドは動きます。  

 音質は s シリーズに比べ優しい音で、スーパーライフヘッドの特徴でもある 滑らかさを感じるものです。D-550 に比べてオークションでもあまり 出てきませんが、価格も約 7,000 円上がった分、完成度も上がっていると思います。

 以下に D-560 の特性を示します。
D-560 特性
項目 特性
トラック形式4トラック2チャンネル
録音再生ヘッドスーパーライフ(SL)ヘッド×1
消去ヘッドフェライト×1
モーターDCサーボ×1
ワウ・フラッター0.05%(WRMS)
周波数特性20~18,000Hz(クロム)
20~16,000Hz(フェリクロム)
20~15,000Hz(ノーマル)
S/N66dB(DOLBY ON)
58dB(DOLBY OFF)
入力インピーダンス/感度LINE IN 47kΩ以上/60mV
MIC(適合)300Ω~5kΩ/0.25mV
出力インピーダンス(負荷)LINE OUT 50kΩ以上
HEADPHONE 8Ω~2kΩ
消費電力8W
外形寸法幅435×高さ143×奥行256mm
重量6.6kg
付属品USピンコード×2
ヘッドクリーニング棒

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