D-17

1985年頃の製品。定価は 32,800 円。D-707HX と共に Lo-D ブランドの
単品コンポーネントとして最後まで発売されていたカセットデッキです。
その外観や造り、値段を見れば誰でも使えるお気軽デッキということで、
同時期のダブルデッキ D-W220 と同じ位置づけではありますが、
なかなかどうして、明るく元気な音を聴かせてくれます。
もちろん、量感や色気などは感じられませんが、3 ヘッドの高級機
とはまた違うカセットの楽しみを感じさせてくれるデッキです。
オークション等では見向きもされないクラスですが、
こういうデッキも使ってみると楽しいものです。

D-707HX もそうですが、この頃は"HITACHI"がメインで"Lo-D"は
サブブランドみたいな感じになっています。それにしても型式等
のレタリングが今までになく中途半端な位置にあります。
メカ自体は低価格機ながらもソフトフェザーメカニズムが
採用されており、録音/再生も軽いタッチで操作できます。

片チャンネル 6 セグメントというとても簡素なレベルメーター。
でも実際はこれで十分なんですよね。+3dB 以上は赤い LED です。
これは見た感じ、ダブルデッキの D-W220 と共通のメーターですね。

右上にドルビー表示があるのに、更に左下にもドルビーのレタリング。
あまりにもパネルが寂しいから表示したのでしょうかね。
テープセレクターは 2 ボタン式。メカ操作系以外のスイッチが
3 つしかない簡素さが素敵です。

ヘッドホン出力は当然ボリューム調整なし。マイク端子は使ったこと
ないですが、モノラル/ステレオ対応なのかな・・・? 録音ボリュームは
左右独立1軸式。感触はとても軽いです。

天板を開けた状態です。ダブルデッキ以外のLo-Dではほとんど見かけない、
メタルシャーシです。それにしてもスカスカです。重さ 2.6kg に紊得。

電源回路周辺です。トランスは45°斜め取り付け。整流回路も簡素。平滑コンデンサーは
このクラスでしたらこれくらいでしょう。

再生アンプ部です。超簡素としか言いようがありません。
だから音質も直球で明るいのでしょう。

バイアス回路周辺です。

回路を真面目に追いかけていないので、録音アンプなのかマイクアンプなのか
上明ですが、REC GAIN 調整が近くにあるので録音に絡むオペアンプだと思います。

今まで見てきた Lo-D のデッキの中で初めて、日立のドルビー IC が
使われていないデッキを確認した次第です。NEC 製とは・・・。

ヘッドホンとマイク端子、REC ボリュームを裏側からみた写真です。

メーターを裏側から見た写真です。カウンター駆動用ベルトが
リールから伸びています。

メカを裏側から見た写真です。ソフトフェザー機は何気に
複雑な機構です。写真を残しておかないとどの部品がどこに
どのように付いていたか分からなくなりやすいです。

側面から見ると、全てのベルト交換となるとちょっと面倒
なことが分かるかと思います。ベルト径もΦ40以下のものが
奥側に使われているので、ベルトを引っ掛けにくいです。
フライホイールベルトも角ベルトが使われていて寂しい限り
ですが、リール用とは独立ベルト駆動となっています。

D-W220 よりは径が大きいフライホイールですが、往年の
デッキと比較してしまうと残念です。

しかし、モータープーリーは金属削り出しで作られています。
ここは手抜きされていません。見た目もしっかりしています。
ちゃんとゴムを介して防振対策もされています。

メカ周りを前から見た写真です。ヘッドはカタログにも何の
説明書きもない普通のヘッドです。ただ、ヘッドを固定している
バネは、なかなかしっかりしたものが使われています。
中央のステーの裏側に写っているのが、リール駆動用の
アイドラーですが、これが経年劣化している場合があるようです。

入手した機体も、写真のように割れていました。これではリールが
回転しません。いつもの水道用パッキンに交換しました。
以下、カタログ写真です。

D-17 特性
項目 |
特性 |
消費電力 | 9W |
外形寸法 | 幅435×高さ120×奥行232mm |
重量 | 2.6kg |
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