D-1

1980 年製造(想定)。定価は 32,800 円。4 桁シリーズの次に出てきた
モデルの一番下のグレードです。D-21s の後継と考えてよいでしょう。
このシリーズでデザインが大きく変わりました。以前上級モデルになる
D-8 というモデルも持っていましたが、あまりにジャンクになってしまったので
手放してしまいました.あんまり好きなデザインでもなかったものですから・・・。
しかし、D-1 にこのデザインは合っているような気がします。
高級機にはあんまり合わないと個人的には思います。

テープセレクタはタイプⅢを除いた 3 ポジション、
ドルビー NR は B タイプです。この頃には C タイプも一般的
に認知され始めた頃ですから,値段を抑えていますね。
録音ボリュームはこれまでにない横スライド式で、なんとも使いにくいです。
微調整が難しいのが難点です。バランス調整はまた別に備えられています。
上級機になると左右独立のスライド式になっていました。
メーターは先代までとは違い、メーターパネルの下に電球を置いて照らし上げる
ようになっています。電球がひとつだけというのが・・・。
わたしが所持していたものはライトの接触が悪くてついたりつかなかったりしていました。針は
俊敏な動きです。

カセットホルダーに発売当初のシールが貼ってあります。安いデッキは
ホルダーの開閉も安っぽいですが、このデッキは開くときも適度にダンピング
がかかっていて、特別安っぽいという感じはしません。
フロントパネルはプラスチックで、天板側に金属フレームが入っています。
ネジの締め付けに気をつけないとプラスチック部分は割れてしまうので
注意が必要です。

バランスつまみの左脇に穴があります。この穴の先にはモーターの速度調整用の穴があります。
天板を開けなくても速度調整ができる珍しいデッキです。

内部構成図
D-21s はオペアンプが見当たりませんでしたが,このモデルからはオペアンプが
使われています。

普及品でも選別品が使われています。

メカニズム部
D-21s と似ている部分もありますが,新たに設計されているようです。モーターの
位置も違います。操作性もだいぶスムーズになっています。ベルトは千石電商の
ベルトで代用できます。モーター~フライホイール間はφ85mm の平ベルト、モーター~リール駆動
中継プーリー間はφ80mm の角ベルト、リール駆動中継プーリー~アイドラー駆動用プーリー間は
φ40mm(ちょっと記憶が曖昧です)の角ベルトで大丈夫です。カウンターベルトはφ65mm の角ベルト
です。角ベルトはそれぞれ幅 0.95mm を選ぶと丁度良いです。幅 1.2mm だときつくて、特に
カウンターベルトに 1.2mm を使ってしまうと、リールのトルクが弱く巻き取りが上安定に
なってしまいます。

普及機でもしっかりフライホイールのバランス取りがしてあります。

ちっちゃい電源トランスです。でも45°傾けて,基板とメカから一番
遠い位置についています。

ヘッド部
当時の資料がないので分かりませんが、多分メタルS.L(スーパーライフ)
ヘッドだと思われます。購入した時点で結構磨耗していた記憶があります。
ピンチローラーはまだまだしっかりしています。全体的に程度は良いです。
さてさて音質ですが,これがなかなか結構良い音で、聴感上高域が素直に伸び、
ちょっとハイ上がりな感じもしますが、価格に似合わない音を出してくれます。
ただヘッドの磨耗のためか、ドロップアウトが結構気になる時があります。ヘッド
が新品だったらもっと良いのではないかと思います。現在は手元にありません。
何気に気に入っていた
一台でした。
ローディのカセットデッキコレクションへ戻る