君ノ面影ニ心ハ開ク −7

by 最阿流さま

 

 
 意識が戻ったとき、腕の中には、夢ではなく、カカシが居た。
 いつの間に眠ったのか、背を抱いていたはずが、今はお互い向き合って。柔らかい銀髪が、猫のように顎をくすぐる。無意識に寒気を避けるため包まった布団の下で、足が触れ合っていた。
 体はくたくただったが、気分は良かった。憑き物が落ちた、とはこういう事かと感じた。
 眠るカカシの顔は、名工の刻んだ彫像のようで、完璧な彫りの深さと、長い睫がどこか人間離れしていた。行為の間、ずっと髪に下に隠されていた左の目に、そっと触れてみる。
 どういう経緯で、こうなったのか。
 左目を切り裂く傷跡に、唇を押し付ける。
 カカシの呼吸が変わり、身じろぐ。より近く体を摺り寄せ、太股が押し付けられた。白い顔の中で、ほんのりと赤い唇が、イルカの喉仏の付近をさまよう。
 ぞく、とした。
 ・・・まだ懲りていない。学習能力がないのか、俺は。
 とにかく、じっとして波が過ぎるのを待った。このまま又襲ったのでは、けだもの以下かもしれない。
 「・・・無理、してます?」
 不意に声を掛けられて、イルカは固まった。
 カカシはのそ、と顔をあげ、まだ完全に醒めきっていない目でイルカを見上げた。
 「・・・起きてたんですか」
 「起きたんです。・・・あなたが、突つくから。気になって」
 キスはしたけど、突ついた覚えはない。はっと気づいて、イルカは腰を引いた。
 「・・・誰のせいですか。」
 イルカはほんのり赤くなりながら言う。
 「あなたがこんな可愛い顔して、擦り寄ってくるからです。・・・泣いてる顔でも、物凄く色っぽいんですから。萎える暇がありません」
 イルカのこの露骨さは、たぶん天然のようだ。
 「・・・ずるい、です。イルカさん・・・人のせいにして。」
 カカシは赤くなって囁く。「あんな・・ことや、こんなことも、おれが泣いたせいだって言うんですか・・・?泣かせたのは・・・」
 皆まで言わせず、イルカはカカシの口を塞ぐ。
 「・・・判りましたから。ごめんなさい。」
 たっぷりと舌を絡めてから、イルカは赤い顔で言う。「あなたの口から、そんな言葉聞くのは、ちょっと・・・」
 自分が言うぶんには、気にしないくせに。
 「・・・で? なんで泣いてたんです?」
 「え?」
 「聞こうと思ってたんです。何故・・・何が、いけなかったんですか?」
 イルカは真剣にカカシの顔を覗く込む。
 「俺が・・・何かしましたか? それとも、他になにか?」
 カカシは考えた。
 あの時の胸の痛み。イルカに嫌われると思って、怖かった。いつかイルカの傍に、自分の居場所が無くなるのが嫌だった。
 この人に必要とされたい。
 そう考えた時、何かがすとんと落ちた。
 不安だったのは、自分の居場所が曖昧だったからだ。何処を拠り所にしていいか判らなかったから、ここに湯のみが置かれたことに喜びを感じた。ここに腰を下ろし、食事をしていいのだと認められた証拠だったから。
 自分がイルカのタイプではないと思って、苦しかったのは、それだけの理由で嫌われると思い込んだから。人の好みが一定とは限らないことを、失念していた。人間の嗜好は一方向にだけ向かうものではない。例外を含まない常識はないのだ。
 力を抜いて考えれば、簡単なことだった。自分の価値をイルカに頼っていたのは、自分だった。そんな自分の弱さ、怠慢に振り回されていたのだ。
 居場所は自分で作ればいい。この人の傍に。何をすればいいかは、探す。潜入調査と情報収集は仕事柄得意だし、結果をだす為努力するのも苦にはならない。今、自分に足りないものを、目を反らさずに探し出す。不安や恐れを受け入れ、昇華する。
 かつて修行中の見習だったころ、恩師が言ったことば。恐怖から目を背けるな。立ち向かい、撃破せよ。忍の戦いは、常に最善を選択せねば、最悪の結果しかない。
 この人を相手に、そういう勝負をしかけるのも、いいかもしれない。中忍とはいえ、なかなかにこの人は手強い。
 そして、イルカが自分を必要としてくれる部分を、何か見つけられたら。
 そうしたら、きっととても幸せだろう。
 考えながら、イルカの顔を見ていたカカシは、どうやら笑っていたらしい。
 イルカは探るような顔から疑問符を一杯放出していたが、どうやら納得した。忍らしく相手の表情に騙されず、その内側の真意を推し量る技量はある。教師であれば、日々実践で訓練もしていることだろう。子供は嘘が微妙に上手い。
 「・・・なんです?」
 「あなたに、嫌われると思ってました。」
 正直に答えたのに、イルカは信じない。
 「どうして?・・・ひょっとして、俺、下手でした?」
 ・・・それこそ、どうして?・・そっちに話が?
 「・・・満足していただけませんでしたか?・・・何かしたからじゃなく、何か足りなかったから?・・・それで、あなたに疑いを持たれるようなことに?・・・」
 「いえ、そんな・・・違います・・・」
 「ごめんなさい・・・あの時、俺、自分でも余裕なくて・・・反省してます」
 「だから、あの・・・?」
 「すみませんでした。償います。」
 「・・・って、イ、イルカさん?・・・」
 「・・・あ、傷には気をつけますから。カカシさんは、動かなくていいです」
 「・・・ひゃぁ・!!・・あ・・!」
 「・・・力、抜いて下さい・・・良くしてあげますから・・・」
 「・・・っちがいます!!・・そうじゃなくて、ぁあ・・んっ」
 
 ストーブも消えて、部屋の中は外気に近いほど冷え切っていた。
 それでも、ベッドの中は、朝まで熱い。くぐもった囁きと喘ぎ声と、満足そうなため息と。
古い木製のベッドが軋む音が、その天国のような場所で聞こえていた。
 

 

 

 いつもの朝の光景は、雪に包まれて目に刺さるほど眩しい。
 今日の授業は一部変更して、演習場の雪かきだな。その後、時間があれば、雪合戦でもしよう。投擲と防御の訓練には丁度いい。
 雪かきと言えば。今日は雪かきの依頼が殺到しそうだ。素人が三時間かかる雪かきでも、下忍とはいえ忍者なら、30分でこなすことを里の人間なら知っている。忙しくなりそうだ。
 頭の痛い予想ばかりが募るにも関わらず、イルカの機嫌がいいことは、周囲にも明らかだった。
 「お早う、イルカ」「お早う、寒いな」
 「・・・なんか酷い顔してんな、おまえ」
 「えー、そうか?」
 「寝不足は、寝不足だろ?目ぇ腫れてるぞ。ま、さっぱりしてはいるけどな」
 相変わらず、観察眼の鋭い同僚に、イルカは苦笑する。
 「・・・で?上手くいったのか?あっちは」
 「・・・え?」
 「とぼけんなよ、昨日のことだよ!! ・・・家に来たんだろ?首尾はどぉよ?ん?」
 にたにたとからかう同僚に、イルカは事もなく答えた。
 「・・・ごかいだ」
 「またまた!!そらっとぼけて!! 誤解も六階もないだろぉが!! 正直に言えよ、この色男!!」
 「だから、ごかい」
 イルカは手を広げて見せた。「・・・結局朝まで。」

 ーーどささささーー

 イルカの周囲で、プリントや書類の紙ふぶきが舞った。
 イルカの爆弾発言の爆風に巻き込まれて、危うく吹き飛びそうになった同僚が、辛うじて机に捕まり、身を守っていた。
 「そ・・・そりゃあ、結構だ・・・」
 赤いのか青いのか、なんだか紫色の顔になって、同僚は答えた。
 「いやぁ、若いっていいよなぁ、なんか、げ、限界をしらないっていうのかなあ・・って、おまえ、それはやり過ぎだろう!!?」 「まあ、そうだったかな?」
 しれしれとイルカは答え、自分の机の書類に目を通していく。
 「・・・最後は、相手の人が頼むからやめてくれって言うから・・・いい加減、寝ておかなくちゃ、体キツイし。」
 どんがらがらがっしゃん。
 「・・・今日が休養日だったら、もっと・・・あ、」
 更に膨大な被害を広げつつ、イルカは はたと鞄を探った。
 「俺、任務完了届け出してなかった・・・ちょっと行って来る。」
 廻りの教員が机もろ共玉砕しているのに目もくれず、イルカは教員詰所を出た。
 ざまぁみろ。
 いつも無責任な噂ばかり立てやがって。少しは本当のことも広めてみせろ。
 勿論、‘相手の人‘の正体は明かせないが、嘘や誤魔化しの嫌いなイルカは、いっそすっきりした気分で、混乱する教員詰所を後にした。

 イルカが出ていった後の詰所がパニックになったのは言うまでもない。
 誇張がすぎるとかきつめの冗談とか、様々言われていたが、結局今まで散々サエとのことやはたけ上忍とのことをからかわれ続けてぶち切れたイルカの意趣返しだったに違いない、という所で落ち着いた。
 真面目な奴の仕返しは怖いな、と同僚たちは話し合った。もう、あまりからかうのは止めよう、と。
 イルカにとって幸か不幸か、‘ほんとの事‘は噂にはならなかった。依頼人に手を出したとか、上忍とゲイカップルだとかいう噂も、殆ど聞こえなくなったのが唯一の収穫だった。
 渡り廊下から、演習場が見える。すでに生徒たちが歓声をあげて走り回っていた。寝不足の目に、雪の反射が痛かったが、光景の長閑さから目が離せなかった。
 もうすぐ新しい年がくる。年内は息もつけない忙しさになるだろう。でも、カカシが里の中にいると思うと、何の心配もない気がする。Aクラスの任務を遂行し、負傷したカカシには、長めの休養が与えられるはずだ。新年を里で迎えたことがないと言っていたカカシだが、来年は一緒に過ごせるといい。過ごせると言い切れはしないが、望みがあるだけでも、胸が膨らむ。
 人間らしさを取り戻したのは、自分の方かもしれない、とイルカは感じた。仕事のことにかまけて、楽しみや希望を感じないよう心を閉ざしてきたのは自分も同じだ。大切な人を得て、その人も自分を必要としてくれていることを実感できて、不安や苛立ちすら生を確認できる証拠になる。
 少なくとも、今夜は。
 久々に、恋人と一緒の夕食。外食するか、家で作るか。
 外のほうがいいかもしれない。最近、自分の理性に自信のないイルカは苦笑しながら考えていた。
  

 

 「・・・ひでえツラだわ、こいつ」
 生きて帰還した同僚を迎えて、アスマは呆れた声をあげた。
 無傷で帰ってくるとは思っていなかったが、少なくとも帰還して翌日出頭してきたならば、大したことはない。Aクラス任務の翌日は病院の集中治療室のベッドの上、というのが多くの忍の定番なのだ。
 「さっき、ハヤテにも会ってきたがよ、あいつも結構食らってたな・・・まあ、あいつぁ、元気な時がないのが看板だから、大して気になんねェが。お前もせっかく顔半分なんだから、そぉんな一発でボロがわかるような目ェしてんじゃねぇよ、プロだろ?」
 散々にこき下ろされながら、反論する気力が勿体無いカカシは、じろ、とアスマと睨みつける。
 昨夜は傷のことなど考える余裕など無かった。イルカは確かに気を使ってくれていたのだが、それでも体に負担の掛からないわけがない。朝になったら、腰が抜けそうなのはもとより、息をするのもままならないほど、胸と脇腹が痛んだ。
 心配掛けまいと、結構必死だったのだ。この上忍棟まで来たところで、もう気力は使い果たした。
 蒸気で曇る窓辺のソファに身を預ける。どさりと座る事はできず、如何にも手負いですと悟られる格好だが、構わない。
 「ああ、そおいや、例の物な」
 声を落とすでもなく、世話話をする調子で、アスマは言う。
 「プロテクト外せたみてぇだぜ。木の葉に直接関わる問題じゃあねぇわ、どうやら」
 「・・・雲とか?」
 思わずカカシが口を開く。
 「判ってたか?」
 「・・・っていうか。木の葉狙いにしては、下手打ちすぎでしょ、あいつら。気づかれるほど回りうろついちゃだぁめだって。あれは、通過中だったんだろうね。なにも手だししなけりゃ、こっちも見逃す、て判ってたから、姿みられてもまた来てたんだ―よね?」
 もし木の葉に狙いを付けた行動だったら。
 相手に気づかれたと感じた時点で、作戦は失敗、もしくは中止。それ以上無理や無駄は通さない。
 狙いが違うところにあったからこそ、行動を続行。
 「確かに、ただ隣を通り抜けるだけなら、こっちも手はださないよね。」
 カカシはぐったりと座り込み、天井を睨む。
 心地よく暖められた上忍専用の休憩室。自由に使えるコーヒーメーカーから、アスマが飲み物を注ぐ。自分にブラックをいれ、もう一つミルク入りを作ると、カカシに運ぶ。
 「・・・雷影からの申し送りがなけりゃぁ、な」
 「あったんだ」
 「らしいな。雲の国に頻々と侵入する忍がいるってんで、注意が回ってた。要請じゃねぇから、拘束力はないが、見過ごせばそいつを口実にされる。全く、相変わらず食えねぇ奴だぜ、雷影ってのは」
 「その点、火影さまは生真面目だよねぇ」
 コーヒーを受け取り、口をつける。「・・・お砂糖入れてよ、アスマ」
 「・・・礼も言わずにそれかよ」
 ぶつぶつと文句を言いながら、それでもカカシに甘いアスマは言われたとおりにする。
 「で、言われた通り、注意したわけ? 霧も迷惑だったよね、まさか目的以外の木の葉から、邪魔が入るとは思わなかっただろうし・・・そぉれで? 結局なにが目的だったわけ?」
 「それを知ってどうする?」
 またしても、突然割り込む第三者の声。
 「・・・お早うございます、イビキ上忍。さようなら」 
 今までの不調は何処へやら。
 カカシはひょイと立ちあがって部屋を出ようとする。
 「おおぉっとぉ!! 何処へ行くのかなぁ、カカシ!!」
 降って湧いたような、耳に響く大音響。
 現れる姿も見せず、何時の間にか背後に立ち、親しげに肩を掴む体温の高い手に、カカシは一瞬本気で殺意を覚える。
 ・・・何度勝手に触るな、と言っても聞かない、自称カカシのライバル、体育会系上忍、ガイ。
 「・・触んなよ、ガイ」
 ガイはカカシが女だと知らない。
 カカシが四代目に拾われ、あっという間に忍として完成して行く一方で、人並み以上の努力と苦労で大成していったガイは対照的で、その対比が周囲には面白いのか、いつの間にか勝手にライバルなどと呼ばれていた。アカデミーでも下忍任務でも、大して接点もなかったガイと、どうして関わりがあるのか、カカシには理解できない。だがもう一方の当事者のガイは、なぜかすっかりその気になっていて、まるでカカシの幼なじみでもあるかのように振舞う。
 はっきり言って、鬱陶しい。
 親しいお付き合いなど遠慮するし、ましてや秘密を打ち明け合う仲になどなりたくない。
 にも関わらず、会えば必ず肩や手に勝手に触ってくるガイが、カカシには腹立たしかった。
脳みそまで筋肉で出来ているような格闘派体術馬鹿とはいえ、ガイも上忍。過度に近い接触は正体を悟られるきっかけに為りかねない。
 「なんだ!! 相変わらず薄っぺらな奴だ!! もっと飯を食って、頑丈な体にならんと、何時までも俺には勝てんぞぉ!!」
 可々と笑って、ガイはぽんぽんとカカシの肩を叩く。傷に響いた。
 「・・・珍しいな、お前がこっちに顔だすとは」
 不機嫌になって声も出ないカカシに代わり、アスマが言う。
 「おう、一言挨拶をと思ってなあ!!」
 ガイはアスマと同じ、下忍担当の上忍師、持ち前の熱血さが、役職にハマって本人も満足しているらしい。同じ上忍師でも、放任主義のアスマとは違い、下忍を手中の玉のように教育することで有名だった。
 そのガイが、大事な下忍チームを放りだし、ここに来るのことは、滅多にない。
 「今日からちょっと遠出をするのでな!! 一目お前に会いたかったのだ、カカシ!!」
 ガイは必要もない大声で言う。
 「我が班は年内の下忍任務が一番に終ったのでなぁ!! 開いた時間を久々に任務に当てる事にしたのだ。帰ってくるのは年を越してからになるので、今のうちに年越しと新年の挨拶をしておくぞぉ、カカシ!!」
 「ああ、はいよ、ご苦労さん」
 答えるのは業腹だったが、カカシは手を上げてガイの手を外しながら言った。
 「・・・カカシ上忍、傷の具合は?」
 あくまで冷静に、イビキが言う。
 「全治2週間、チャクラの回復には、さらに5日」
 カカシはきっぱりと答える。「暫く、使い物になりません」
 「まぁ、いい。実は計画があってな、雲の国まで慰安旅行だ。療養と思って付き合わんか?」
 「おお、良いな、行って来いよ、カカシ」
 アスマが大笑いして言った。
 「いえ、折角ですけど」
 カカシはひらひらと手を振った。「・・・却って、皆さんにご迷惑をお掛けしても、ナンですから。」
 「そうか!! まあ、ゆっくり休むことだぁ、カカシ!!」
 ガイは懲りずにカカシの両肩を掴むと、ゆさゆさと揺すった。カカシに冷たい殺意が甦る。
 「・・・では、邪魔したな、アスマ!! カカシ、又会おう!!」
 温度を上げる体術上忍と、冷気を撒き散らす情報部の隊長。二つの影が遠のくと、ようやくカカシは気が抜けた。
 「ほい、ご苦労さん」
 ぐったりと立ち尽くすカカシの手を引っ張って、再びソファに座らせ、丁度良く冷めたコーヒーを渡す。
 「・・・ま、我慢したれや。ガイもお前に嫌がらせしてるわけじゃねえんだ。」
 「イビキのは嫌がらせデショ、おれのこと、殺したいのかな?」
 カカシはコーヒーを飲み干して、言う「・・・これ、不味いよ、アスマ」
 「俺のせいか!? ってか、飲んでからいうな!!」
 むっかりと唸って、アスマは自分の分を飲む。
 「・・・上等じゃねぇか、贅沢いうんじゃねぇよ。・・・ガイが帰ってくるよう、祈ってやんだな。お前の顔が見たかっただけの、あいつなりの強がりをよ。」
 カカシは空のカップを両手で包み、顔を背けてぽつりと言った。
 「・・・死んでいい・・・」
 「人でなしがあぁぁ!!」
 上忍棟に、罵声が轟いた。

 
 

 そして。
 雪の積もる商店街を、苦労して歩く人々の中、歩調を乱さず大股に歩く忍たちがいた。
 久しぶりに外食を、と店を訪ねたが、雪のため仕入れが間に合わず、営業できないところが大多数。
 仕方なく、食材を買い込んで、自宅での夕食となった。
 今日もまた、イルカの理性が試される。


 



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