素顔のままで
カカシは己がここ数年住居としていた部屋を見回した。 鏡台も、可愛らしい雑貨や飾り物も無い。およそ女性の部屋には見えなかった。 窓際に置かれている観葉植物の鉢とシンプルな写真立てが、かろうじて彩りとなっている。 必要最低限の物しかない部屋。 それでも、この部屋を完全に引き払うとなるとそれなりに引越しは大変だろう。 「……いや、オレの部屋自体はあった方がいいのか。これからも…」 では、本当に必要な物のみを持ち出すだけで済む。 『はたけカカシ』は、これからも独身の男性として木ノ葉に住んでいるという事になるの だから。 今までも長い期間部屋を空ける事は珍しくなかった。 カカシの姿が見えなくても、近隣の住人は不思議に思うまい。 「まあ、ここにはたまに空気入れ替えに来ればいいでしょ……ウッキーくん、オレと一緒 にイルカ先生のところに行こうね」 カカシは窓際の鉢植えに手を添え、笑いながら話し掛けた。 そして、写真立てを手に取り、永遠に歳を取らなくなった育ての親であり師匠でもあった 青年に報告する。 「………先生。…オレね、お嫁に行きます。…信じられます? オレがお嫁さんになるん ですよ。驚いたでしょ。じゃあ、もっと驚かせてあげます。ここにね。オレのお腹にねえ …赤ちゃんがいるんですよー」 えへ、と照れて一人で笑う。 「先生…喜んでくれる? 先生、言ったよね…お前は幸せになりなさいって。……カカシ は、ちゃんと幸せになりました。こんなオレを、真剣に愛してくれる人に出逢えて…その 人と結婚するんです」 秀麗な顔に満面の笑みを浮かべて祝福してくれる師匠の姿が目に浮かぶようだった。きゅ っとカカシの胸が切なさに痛む。 もしも彼が生きていて、生まれたカカシの子供を見たならば。 どんなに喜んでくれただろう。 自分が幸福になる事が、血も繋がらない自分を育ててくれた彼に対する唯一の恩返しにな るのだと言うことが、今になってやっとわかったのだ。 写真立てをそっと布で包んで丁寧にカバンにしまう。 「実を言うとね、先生。オレ、ちょっと自信ないんですけどね……」 妊娠した事を知った時の驚き。 そして嬉しさと同時に襲った戸惑い。 イルカの子を宿す可能性をまったく考えずに抱かれていたわけではない。 妊娠に対する怖れは無かった。 むしろ、そうなればいいとさえ思っていた。 だが、同時にそんなに都合よくいくわけがないとも思っていた。 こんな、人をたくさん殺めた血だらけの手に新しい命を抱く事など、天が許してくれるわ けがないと―――半ばそう諦めていたのだ。 カカシは自分の腹部に手を当てた。 「………ごめんね……オレみたいなのがお母さんで。……でも、頑張るから。だから、お 前も頑張って生まれておいで」 皆が皆、祝福してくれた妊娠ではない。 三代目が許した。 ただそれだけの理由で不承不承目をつぶった形の男達の顔をカカシは思い出した。 昔からあれだけ傍にいてくれたアスマさえ、一応味方はしてくれた格好になったが、喜ん でくれたわけではないとカカシは知っている。 彼は、イルカとの交際そのものには反対していなかった。 カカシが人並みに恋愛を楽しむのならそれも良しと見てくれていたようだったのに。 きっと、アスマは信用してくれていたのだ。 カカシと、それにカカシが好きになった男なら、それなりにきちんとわきまえた交際をす るはずだと。 その信用を、裏切った。 百歩譲って妊娠は仕方ないとしても、発覚した時点でカカシは速やかに己の判断できちん と処理するはずだと彼は思っていたはずだ。 それを、自分は産みたいと泣いて我がままを通した。 「アスマ……怒ってるんだろうな……」 カカシは頭を振った。 万人に祝福されなくてもいい。 母親である自分と、父親である彼が愛していればいいのだ。 護って、あげる。 「大丈夫だよ。ごめんね、心配しなくていいよ」 カカシは子供を励ますように軽く腹を叩き、戸棚に向かった。 「さて、荷物まとめなきゃ。イルカ先生の所へ持って行くのと〜…火影様の所に持って行 くもの分けて……」 カカシはふと手を止めた。 「………でも………オレはいつまで『はたけカカシ』なのかな……」 忍でいる事そのものはいい。 また、自分は忍以外の者にはなれまい。 ただ、いつまでこの偽りの姿を続けねばならないのか。 問題は写輪眼なのだ。 本当に、カカシが子供を生める女だと―――そう露見したら、他里に狙われる事になるだ ろうか。 カカシは首を振った。 その可能性がゼロではないから、火影はカカシに男でいろと命じたのだ。 血継限界能力の仕組みはまだわからない事も多い。決まった法則も無い。 だが、能力が現れたのが女性ならば、その遺伝子が子供に伝わる確率が非常に高いのは事 実。 正統なウチハの後継者であるサスケにも、彼自身は気づいていないかもしれないが一応護 り手はついている。ただし、それとなく見守る程度だ。もしもサスケが成人するまでに写 輪眼が発現しなかったら、その護り手すらいなくなるだろう。 木ノ葉でさえその程度なのだから、リスクを冒してまで他里がサスケをかどわかす可能性 は低い。正統なウチハよりも、木ノ葉の生まれでさえ無いかもしれないカカシの存在が重 視されている滑稽さ。 ただし、『上』の持つ懸念はカカシにもわかるのだ。 左眼を潰したカカシに写輪眼の移植手術をしたのは彼女の為ではなく―――実験的な要素 が濃かった。 それはカカシも承知している。 賭けのような手術。彼女にとっては度胸の要る賭けであった。 移植そのものには成功しても、眼の能力が無くなる可能性は充分考えられた。しかも、も しも拒絶反応が激しければ、失うものは視力だけではないとわかっていたからだ。 心配された拒絶反応も無く、眼の持つ能力をも使いこなし始めたカカシに、周囲は驚愕し た。カカシにとっては、良くて義眼の代わり程度にしかなるまいと思っていたからだ。 駄目で元々だった『賭け』にカカシが勝ったのは、果たして偶然だったのだろうか。 誰も口に出さないひとつの可能性。 それが消え去らない限り、この馬鹿げた芝居を続けねばならないのだろう。 「………まあ、いいや…この子を産む事も、イルカ先生と結婚する事も…許してくれたも の……少しくらい我慢しなきゃね……」 自分は忍だ。 忍ならば、命令によって一生偽りの人生を送る事も珍しくは無い。 大名の影武者などにでもなれば、お役御免になるまで自分自身として生きる事は出来なく なるのだ。 そう考えれば、自分は『素顔』を晒せる相手がいる。その人は在りのままの自分を愛して くれている。 充分幸せな事だと、カカシは自分に言い聞かせた。 「結婚式?」 カカシは素っ頓狂な声を上げる。 夜の闇にまぎれてこっそりと荷物の一部を移動しに来たカカシは、そのままイルカの家で 夕飯を御呼ばれして、当然そのまま泊まる事になった。 お風呂も借りて、石鹸のいい匂いをさせたカカシはイルカのベッドにちょこんと腰掛けて 目を瞠っている。 「本気ですか? イルカ先生」 イルカはたった今風呂から上がったところで、濡れた髪をタオルで拭きながら頷いた。 「…実は、火影様に結婚のお許しを頂いた時から考えていました。…式はどうしよう。や はり挙げた方がいいか…でも無理だろうか、と…」 カカシは戸惑った顔でイルカを見上げている。 「でもねえ、今フロに入りながら俺、思ったんですよね……確かに俺達は結婚するからと 言って大はしゃぎは出来ない。…でも、疚しい事をするわけじゃない。……なら、慎まし い式くらい挙げても構わないのではないかって。……カカシさんは、どう思いますか?」 イルカの言葉に、カカシは正直に呟いた。 「…考えた事もありませんでした……」 ごめんなさい、と俯いてしまったカカシの頬に、イルカは微笑んで手を当てる。 「謝らなくていいんですよ。…じゃあ、考えて下さいますか?」 今の今まで、結婚式の事を考えもしなかったと言うカカシの事を、イルカは心のどこかで 「やはり」と思っていた。 普通の女性ならば、結婚が決まった途端にお式の事を考えるだろう。自分が着る花嫁衣裳 に夢を馳せ、一世一代の晴れ姿を心に思い描き、胸ふくらませ――― それは、彼女達が物心ついた頃から何度も心の中で繰り返された憧れのシミュレーション だからだ。相手がまだ見ぬ未来の王子様から、隣に立つ現実的な男に変わっても。 イルカから見れば、まだおしめが取れたばかりのような幼い乳臭い女の子たちでも頬を上 気させ、そういう夢を語っている。 だが男として育てられ、戦う技術のみを叩き込まれて育ったカカシが、女の子ならば当た り前のそういう空想をするはずもない。 カカシは眉間に僅かに皺を寄せ、真剣に考え込んでいる。 「…あのね、カカシさん」 「はい…」 「俺が聞きたいのは、貴女の気持ちです。結婚式、嫌かどうか」 「……嫌な…わけじゃないと思うのですが……」 「…が?」 「………すぐに判断がつきません。…ちょっと…色々と…」 カカシは顔を上げてイルカを見、必死な顔で訴える。 「……でもっ! イルカ先生と結婚するのは嬉しいんです! 嫌なわけ全然ないですから っ!」 イルカは苦笑した。 「わかってますよ。…今すぐ返事しろとは言いませんから。…でも、俺はカカシさんの花 嫁姿が見たいと思います。きっと、とても綺麗ですよ」 「………花嫁…姿…」 カカシはハッとした顔になる。 「もしかして…お式するとしたら……オレ、変化とかして別の女にならなきゃいけないで しょうか…?」 イルカは首を振った。 「……いいえ。変化は避けた方がいい。……変化や分身は、チャクラを己の内側に向ける 術でしょう。…お腹の子供に、影響があるかもしれませんから」 カカシはそうか、と頷いた。 「……ですね。…じゃあ、お式…するとしたら……」 「カカシさん…」 イルカはカカシの隣に腰を下ろした。 「大丈夫です。もし、お式を挙げるとしたら…やりようは幾らでもありますよ。貴女、普 段から顔をあまり露出してないし。変化なんかしなくても、お化粧すれば女の人の顔は結 構印象が変わってしまうものだし。それに衣装を工夫して、顔があまり見えないようにし てしまえばいい」 イルカが何も考えずに結婚式の事を言い出すはずがなかったのだとカカシは気づいた。 まず第一にカカシの事を考え、色々と対策を練ってくれているのだろう。 それでもカカシはすぐには「うん」と言えなかった。 出産と結婚の許可さえ、無理矢理もらったようなものなのだ。この上、そんな事をしても いいのか、カカシにはわからない。 「……ですね。……でも、もう少し…考えさせて下さい……」 「もちろんです」 その話は終わり、とばかりにイルカはカカシの肩を抱き、軽くキスしてからゆっくりと彼 女の身体をベッドに横たえた。 「イルカ…先生……」 カカシは彼の背に手を回し、ふうっと息を吐く。 やはり、安心する。 この男の腕の中は、本当に気持ちがいい。 「……無理…しませんから…少しだけ……」 「少しじゃなくても大丈夫ですよー」 「そうはいきませんって」 イルカは笑いながら、カカシの首筋に顔を埋める。 「や…くすぐったい……」 カカシは僅かに身動いで、イルカに抱きついた。 イルカはゆっくりとカカシの首筋から鎖骨へと唇を這わせる。 「うン…」 思わずカカシが鼻を鳴らすような声を漏らした。 その間にも、イルカの手はカカシの身体をシャツの上からそっと愛撫している。 風呂上りで下着をつけていないカカシは、恥ずかしげに身を捩った。 胸のふくらみをまさぐっていたイルカの手が、するりとカカシの腹部に落ちる。 まだ、何の変化も無い平らな腹。 でもここに赤ん坊がいるのだと思うと、自然にイルカの手の動きは優しい、慈しむような ものになる。 カカシもそれに気づいた。 「……まだ、触ってもわかりませんよ」 「でも、ここに……いる」 「………………」 イルカと、カカシの間に芽生えた命が。 ゆるゆると、イルカの掌がカカシの腹の上で円を描くように滑る。 「……頑張って、生まれておいで」 まだ完全な人の姿にすらなっていない我が子に、イルカは話し掛けた。 奇しくも、昼間カカシが自分の腹に向けたのと同じ言葉。 クスッとカカシは笑った。 「それ、オレも言っちゃった。…きっとこの子、あきれてますよ。お父さんもお母さんも 気が早いんだからーって」 「本当に? ハハ、まったくですね。……でも、健やかに…無事に生まれてきますように …ってね。ずっと言っていれば、この子もその気になってくれると思って」 「紅が言ってた、胎教ってヤツ?」 「…少し違うかな…教育ではなく、祈りですから」 そう、イルカは呟いた。 カカシは幸せそうに微笑む。 「……いいものですね…そういう祈りは……負の感情の欠片も無い……前向きで、豊かで、 純粋な感じがして……」 イルカは掌をカカシの腹部に当てたまま、伸び上がって彼女の唇をふさいだ。 触れ合う唇からイルカの気持ちが伝わってきて、切ない喜びでカカシの胸の中は満たされ る。 愛されている。 慈しまれている。 こんなにも幸福な時間を味わう事が出来るとは思わなかった。 イルカと抱きあっている今この時でさえ、夢なのではないかと思うくらいに。 「……イルカ先生…」 ん? とイルカがカカシの顔を覗き込む。 「……ありがと…」 「何がです…?」 心地好い男の腕の中でもぞもぞともっと収まりのいい場所を探して身動ぎ、カカシは満足 そうな笑みを浮かべる。 「今日ね、改めて先生に…あ、四代目にね、結婚の報告したんです。オレ、お嫁に行きま すって。…それから、赤ちゃんが出来ましたって。……きっと、先生…喜んでくれたと思 います。オレからそんな報告が聞けるなんて、思ってもみなかったでしょうからね。…… …やっと少し、恩返しが出来た気がします。………イルカ先生のおかげです」 そんな、とイルカは思わず呟いた。 「おかげで、なんて……そりゃ結婚も妊娠も独りじゃ出来ませんが……俺の方こそ、カカ シさんのおかげで両親に顔向けが出来るってもんです。………そうだ…今度、俺と一緒に あそこ…行きましょう」 カカシはすぐにピンときたようだ。 忍として死ぬと、個別の墓が無いので故人を偲ぶよすがはあの慰霊碑しかない。イルカの 両親も、四代目が亡くなったまさにあの日、黄泉路へ旅立った。 「あ…そうですね。あそこなら、イルカ先生のご両親にも、四代目にも挨拶出来るんだ。 ……あー、でも他の人もいるから何だか恥ずかしいですね」 「大丈夫ですよ。名前を呼んで、限定で話し掛ければきっと他の方々は遠慮してくれるは ずです」 そうかなあ、とカカシは首を傾げた。 「オレの記憶にある限り、結構物見高い連中が多かったよーな……あいつなんか大騒ぎし て冷やかしそう……」 「あいつ…?」 「……友達……仲間だった男。…オレが女だって、知ってたヤツです。でも、普通に友人 として扱ってくれた。…そして、庇ってもくれた……あいつは、オレが幸せになる事を喜 んでくれるかな……そうか…あいつにも報告しなきゃいけなかったんだ。…やっぱ、ちょ うどいいかもです。慰霊碑」 イルカは彼岸にいる者達に思いを馳せた。 そこには、カカシ同様に彼の恩師や友人もたくさんいるのだ。 「…そうか。じゃ、この際だ。皆さんに報告しましょう」 「皆さんって……」 「カカシさんとね、俺が世話になった方々、それから友人知人。実はね、俺の恩師も既に 彼岸の人なので。考えれば、たくさんいるんですよ。報告しなきゃいけない彼岸の方々が」 カカシは突然クスクス笑った。 「みんな、驚くだろーなー…」 イルカも笑う。 「そうですね。俺の知り合いもみんな驚くでしょうねえ……お前にそんな甲斐性があった のかって」 ふとカカシの顔から笑みが消えた。 「……何故かな…死んじゃった人達はみんな喜んでくれそうな気がするのに……」 わかっている。 生きている者は、『里』が一番の優先事項なのだから。 まだ、しがらみがある。 彼岸に旅立った者達はそこから解放されているから、カカシ個人の幸福を願い、喜んでく れるような気がするのだろう。 カカシの思考を読んだように、イルカはカカシを抱き寄せた。 「…本当は、アスマさんとか…他の方々も、カカシさんが女性として幸せになるのに反対 なわけじゃないんですよ……ただ、皆さん心配なさっている。…里としての物の考えばか りを強調なさってましたが、本当は貴女自身が心配なだけ…なのだと思います」 もっと力のある―――例えば四代目のように彼女を守る圧倒的な力を持っている男が相手 だったならば、アスマ達もきっと安心してカカシを嫁がせるに違いないのに、とイルカは 内心唇を噛んだ。 己がカカシにつり合わないのがいけないのだ。 「…すみません…でも俺…頑張りますから…」 カカシは不思議そうな顔で恋人の声を聞いていた。 「何故アナタが謝るんです…? オレは………」 この男だから無防備なまでに己を曝して抱かれた。 この男の子供だから産みたいと思った。 この男だから、妻になりたいと思ったのだ。 カカシには、彼以外の男など考えられない。 「………………」 カカシは唐突に思い決めた。 もう余計なことは何も考えられなくなる。 「………結婚式………しましょう!」 イルカは驚いて顔を上げた。 「カカシさん?」 「…我がままついでです。この際、きちっとお式も挙げて、今生きているヤツらにもオレ の決意のほどを知ってもらうんです! オレ、イルカ先生のお嫁さんになるんです! 他 の誰でもない、オレが!」 「カ…カカシさん………」 いきなり凄い勢いで『結婚式宣言』をするカカシの唐突さに数秒呆気にとられたイルカだ ったが、やがて表情を緩めて微笑んだ。 「………わかりました。お式、するんですね?」 カカシはきっぱり頷く。 「します!」 そして、イルカの顔を悪戯っぽい顔で覗き込む。 「………色々、考えてあるんでしょ? お式に反対しそうな連中、黙らせて…上手いこと 堂々と結婚式挙げちゃう方法」 イルカはウィンクしてみせ、笑った。 「………もちろんです。お任せ下さい」 「さすがオレの惚れた男ですねー、イルカ先生ったら! 頼もしいっ」 嬉しそうに胸に懐いてくるカカシの髪を撫でながら、イルカは心の中で己に気合を入れた。 他の誰がイルカを認めてくれなくても、この愛しい人がこれほどまでに自分を信じ、嫁い できてくれると言うのだ。 イジケているヒマなど無い。 イルカは、カカシの腹にそっと触れる。 「………皆さんに、祝福して頂きましょう。この子の、為にも」 「はいっ!」 カカシは、イルカの家の窓辺に置かれたウッキーくんと、写真の青年に微笑みかけた。 堂々と。 在りのままの姿で。 ―――カカシはお嫁に行くのです。 (2003年12月発行/『戦うDaphne』書き下ろし) |
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そろそろこの話をUPしてもいいか・・・本、なくなっちゃってるし・・・と思ってファイルフォルダを捜してみたら! ・・・なぜか未完成、しかも推敲前のファイルしか残っていなかった・・・何でやね〜んっ!!! 原稿にした時のファイルは? 消したのか自分っTT ・・・仕方ないので、本を見ながらファイル直して、書き足して・・・あう。
カカシちゃんの結婚式への意気込みと決意を一発。 時間的には、『はじめの一歩』の中間に入るお話でした。 2005/01/04 |