+++ こーないえん +++
なーんとなく、さ。 何かの拍子に『いいムード』っぽくなる時ってあるじゃん? それで相手がスッと顔を近づけてきたら、オレは目を閉じる だけさ。 だって、キスだってわかるでしょー? でも、寸前でオレは思い出した。 自分の今の状態を。 「まったっ!」 オレは咄嗟にイルカの口を手で押さえていた。 「……………」 イルカさん、眉間にシワ。………ごめんよぅ……… 「………あの、オレ今………ダメなんだ。その…く、口の中 が………」 「虫歯でもあんのか?」 近いわ。………いや、虫歯じゃないけど。 「ちがーう。口内炎。…イテェんだよ。だからベロチュー禁 止」 そんな事したら気持ちいいどころじゃないから。 「口内炎だ? どら、見せろ」 「見て気持ちいいもんじゃないって」 「しのごのぬかさんで、見せろ」 ああん、イルカさん強引〜(泣)………オレは仕方なく口を 開け、下唇の裏側を見せた。 「………あ〜あ、こりゃひどいな。メシ、食えるか?」 「ん〜、味の濃いものとか辛い酸っぱい熱いはダメ。とにか く、ものを噛みちぎれないんだ」 「そうか。………口内炎に効くビタミン剤があるから、それ 飲め。薄味であまり噛まなくていいメシ作ってやるから」 ああ、イルカさん優しい……… 「………ごめん。ありがと」 「明日までには治る………ワケねえよな、それじゃ」 ………? 明日? イルカはシャツの胸ポケットから、何かチケットらしきもの を引っ張り出す。 「今日もらったんだよ。明日までの、一楽のタダ券。お前、 そんなんじゃラーメンなんか無理だな。………ナルトでも連 れてってやるとするか」 「うぇええええ〜〜〜〜〜〜〜」 イルカさんのいじめっこ〜〜〜! まだメシも食ってないのに、口の中がジクジクと痛み始める。 「仕方ないだろ」 ちゅっと軽いバードキス。 「早く治せよ。ラーメンも食えなきゃ、キスも出来ないなん て、つまんないだろ?」 「うー」 ホント、つまんない。 イルカは優しいから、ホントに噛まなくていいメシ作ってく れたんだけど。 その夜のオレのごはんってば、オートミールだけだったのよ。 ちっくしょー、口内炎のバカ。 ラーメン食いたいよーとわめくオレの口は、またイルカのバ ードキスでふさがれた。 ………ひょっとして、うるさいから黙れって意味か? このキスは。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 『転んだ』ので、タダでは起きまいとして書いた口内炎ネタ。(笑) やーんもー、口内炎ってこんなに辛かったっけ〜? って思うほどヒドイ口内炎の青菜です。 忍者のカカシを口内炎にしてやろうかと思いましたが、どうも忍者のカカシがこういうモノに なるってのがピンとこなくて、また大学生。 ここの連中は普通の人間ですから。(爆) 口内炎くらい出来るでしょう。 (06.04.03)
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